100メートルの通過はジュロワ(ロシア)よりも0秒43も遅い10秒89。懸命に追いかけたが、38秒60でゴール。初めての五輪で12位という厳しい順位を突きつきられた。
五輪に合わせるように、シーズン前半は日本のトップに躍り出て、この五輪オーバルでの昨年12月のワールドカップ(W杯)では日本女子選手初の37秒台を記録するなど日本新を連発。表彰台にも2日連続で上がった。
五輪のメダルだけを考えてきた度胸満点の新鋭はしかし、初めて味わうプレッシャーを前日こう話していた。「心臓がバクバクした。氷の上に乗れば、落ち着くはずなのに…」
この日は気持ちを切り替えて臨んだはずだったが、五輪の魔術から抜けきれなかった。
リンクを離れても涙が止まらない。目を真っ赤にしながら「スタートのことは覚えていない。次、頑張ります」と言うのが精いっぱいだった。
(2002年2月15日 信濃毎日新聞掲載)