碁聖戦タイトル

 ボタン 見どころ ボタン

スピード、粘り 好局 期待
 (小林 覚 九段)


第27期「碁聖戦」5番勝負第2局の小林光一碁聖。第4局でタイトル防衛に成功した=昨年7月18日(日本棋院提供)


 6連覇を含め、碁聖通算9期を誇る小林碁聖と、碁聖を3期務めた依田名人の実績十分の二人の戦いで、見応えのある重量級の戦いになるだろう。タイトル戦で何度も顔を合わせている両者だけに、互いの実力と手の内はよく分かっており、接戦が期待される。

 小林碁聖は、正確な形勢判断と読みで、序盤から確実にリードを保ち、一局の碁を効率よく勝ちに結びつけるのが持ち味。碁聖6連覇のころと比べると、調子はいまひとつだが、技術的に弱くなったわけではなく、タイトル戦の経験も豊富。現在保持する唯一のタイトルの碁聖を簡単に手放す棋士ではない。


第28期「碁聖戦」本戦トーナメント決勝で、小林光一碁聖への挑戦権を獲得した依田紀基名人=5月29日(日本棋院提供)


 一方、依田名人も計算し尽くした精密な碁が持ち味。序盤から地を確保する実利を重視しながら、相手の勢力圏でのしのぎや、模様を消すことに自信を持っている。以前保持していた碁聖を奪われたのが小林碁聖であり、今回の戦いへの思い入れは強いはず。夏場としては、ここ5年で一番の調子を維持している。

 両者とも、序盤のスピードに加えて、形勢がやや不利でも勝負をあきらめずに、最善手を打ち続け、逆転を狙う粘りを持っており、持ち味が似ている。双方とも黒を持つと特に迫力があり、小競り合いから、大きな戦いに発展するか、あるいは半目勝負のまま、寄せ合いに入っていく可能性もある。半目をめぐるぎりぎりの駆け引きが続き、5番勝負のうち数局は半目勝負の接戦となるだろう。

 第1局の先手、後手は、当日に決まるが、両者ともこだわっていないと思う。黒番なら、自分のペースで勝ちきる碁を目指し、白番なら相手主導の碁を破ることで、5番勝負の主導権を握れるからだ。持ち時間4時間の碁聖戦は、一手に1、2時間かけることはできず、リズムが重要になる。そのため、波に乗れるかどうか、1局目が重要になる。

 最近のタイトル戦では、新進の20代の若手棋士と、実績を持つベテラン棋士の世代間の対戦が多かった。今回は、囲碁ファンになじみの深い両者の対戦で、ベテランの存在感を示す好局が期待できるだろう。

 小林 覚(こばやし・さとる)
 木谷実九段門下。74年入段。87年九段。90年から3期連続碁聖戦挑戦者となり、95年に碁聖位初奪取。同年棋聖位を獲得し、NHK杯戦にも優勝した。96年竜星戦初優勝。松本市出身。44歳。東京都杉並区。


碁聖戦フロント見どころ碁聖戦の推移関連ニュース第1局案内
Copyright 2003 信濃毎日新聞 The Shinano Mainichi Shimbun