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2012衆院選

職場が消える...雇用対策願う 各党主張に厳しい目

2012年12月12日(水)

12月末に解散する信越富士通。60人を超える従業員が職を失う見通しになっている=11日、信濃町古間

 円高や内需低迷による大手製造業の生産拠点再編に巻き込まれ、仕事を失う不安を抱えて今衆院選を迎えた人たちがいる。長引く景気低迷に、金融緩和などで手を打つと訴える政党もあるが、雇用不安の悩みに対する直接的な打開策は聞こえてこない。こうした有権者は、年の瀬を控えて期待と不安の入り交じった思いで選挙戦を見つめている。


 今月5日夜、JR長野駅前の中華料理店。富士通(東京)の子会社で、上水内郡信濃町にある信越富士通の社員ら約60人が懇親会を開いていた。記憶装置の製造などを担う部門の同僚たち。その中で、同町内の50代男性は終始浮かない表情だった。今月末での退社を決めたためだ。


 富士通が12月末に信越富士通を解散し、同社の事業を石川県や神奈川県、長野市のグループ企業などに集約、譲渡する方針が判明したのはことし9月。全社員約280人のうち約120人に、県外などへの移籍を求めた。


 50代男性の部門は石川県への移籍を求められた。だが、病気がちな80代の母親と同居する男性は、とても移籍できないと退社を決めた。同社によると、移籍に応じられず、退社する社員は60人を超える見通しだという。


 男性は勤続約30年。小学生と中学生の2人の子どもがいる。信越富士通は町内有数の優良企業だった。「まさか解散なんて、夢にも思っていなかった」。来年1月に職探しを始めるが、「見つかるか不安でならない」と訴えた。


 富士通によるグループ再編は、国際競争力の強化などが目的だ。衆院選では、複数の政党が金融緩和による円高是正や法人税削減を掲げるが、男性は「雇用不安を解消する方策には見えない。県内で住み続けられる雇用を確保してほしい」と話した。


 県内では今秋以降、生産拠点の統廃合計画が相次ぎ明らかになった。東芝(東京)がリチウムイオン電池開発の佐久工場(佐久市)の機能を柏崎工場(新潟県柏崎市)に移すと発表。電子楽器大手ローランド(浜松市)も、松本工場(松本市)を含む国内3拠点の生産部門を浜松市に集約する方針を打ち出した。


 JX日鉱日石エネルギー(東京)の子会社で、太陽電池用シリコンウエハー製造のスペースエナジー(同)長野事業所(佐久市)も年内での生産停止を決め、全従業員200人に県外にある関連会社への移籍か、来年1月末での退職を求めた。


 同事業所が再就職あっせんの面談をしたり、地元の佐久公共職業安定所や佐久市などが支援に動いたりしている。だが、佐久地方での再就職はあまり見通しが立っていない。


 同事業所の30代男性は、将来不安を口にしながらも衆院選の論戦を注視している。「原発問題や環太平洋連携協定(TPP)も大きな課題。だが、景気雇用対策も日本の土台を支えるもの。後回しにしてほしくない」。今回は景気雇用対策を最優先して投票先を選ぶつもりで、「投票しなければ何も変わらない」と話している。


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