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2013参院選

県内の被後見人、心待ちにした参院選 「一票が誰かを応援できる」

2013年07月23日(火)

 2000年の成年後見人制度導入時に選挙権を与えられなかった被後見人が、今回の参院選直前の公選法改正で選挙権を手にした。投票を心待ちにしていた県内の被後見人も1票を投じた。ただ、被後見人の判断力には大きな差があり、投票に至らなかったケースもあるのが実態だ。


 「投票できて良かった」。松本市の20代男性は17日、期日前投票を終えてほっとした表情を浮かべた。中度の知的障害があり、2月に後見人が選任されて選挙権を失った。それまでの選挙はほぼ毎回投票しており、選挙権を失うと知った時を「ショックだった」と振り返る。


 男性は後見人の松本市社会福祉協議会から投票できると聞き、ニュースを見ながら投票先を考えた。重視したのは東京電力福島第1原発事故への対応だ。「自分の1票が、誰かを応援できるのが選挙の好きなところ。納得いくまで考えられた」と男性。「(原発事故で)避難している人がいつ戻れるのか分からない。(首相の)安倍さんにはもっとしっかりしてほしい」と話した。


 上伊那成年後見センター(伊那市)は、認知症で後見人が選任されている高齢者には、直近の記憶は薄くても長年の習慣となった投票については意思表示できる人もいる、とする。だが、「投票できないこと」を理解してもらうのは困難で、過去の選挙で投票に出掛けてしまった被後見人もいたという。同センターは「判断できる人にとって、選挙権が戻ったのはいいことだ」と話す。


 成年後見制度は判断能力が不十分な成人を保護、支援する制度で、被後見人が周囲の意見に左右されて投票してしまうのではないか、との懸念もある。


 父親が後見人に選任されている長野市の20代の男性は重度の知的障害があり、今回は投票しなかった。選挙結果が出た22日、母親は「(投票した)被後見人はしっかり自身の判断で投票できただろうかと思った」という。


 今回から、病院などで行う不在者投票の公正を期すため、第三者の「外部立会人」配置が努力義務となったが、市町村選管の対応は追い付いていない。被後見人の投票では公正さを確保する手だては十分ではなく、女性は「判断能力が不十分であることにつけこまれて誘導されたりすることのないよう支援が必要」と話している。