TOP2011年04月福島の農家、信州に移転 伊那で桃やサクランボ栽培へ

 福島第1原発事故による放射性物質の拡散や風評被害を受け、福島県伊達市の農業生産法人「伊達水蜜園」が伊那市で農業経営をすると決め、同園の佐藤浩信代表取締役(51)が18日、同市を訪れた。同県の48法人でつくる「うつくしまふくしま農業法人協会」によると、他に1法人が千葉県内での生産に向けて準備しているという。

 伊達水蜜園は家族経営。約3万5千平方メートルの農園で、リンゴ、桃、サクランボ、柿を生産、加工してきた。原発事故直後から大手百貨店に取引を断られるなど、今年の収入は例年に比べ約6割減の見通しという。農産物加工品の生産で伊那市内の食品会社から原料を仕入れている縁で市や上伊那農協に相談し、伊那に移ることにした。

 佐藤さんは18日、牧草地となっている同市西箕輪の畑5千平方メートルを地権者らの案内で見学。この畑を賃借し、今月中に桃やサクランボの木を植えたいといい、妻と2人で移住する予定。伊達市にある農園は2人の息子に維持、管理を任せる。

 福島県によると、伊達市を含む同県北部では、土壌から検出される放射性物質は人体に影響を及ぼす水準ではないが、夏季に収穫される農作物は、測定結果によっては出荷に影響が出る恐れもある。佐藤さんは「難しい選択だったが、苗を植えるこの時期に決断が必要だった」と話す。

 全国農業会議所(東京)は日本農業法人協会会員に、東日本大震災被災者の雇用を呼び掛けている。14日時点で、全国353法人(長野県内55法人)から928人の求人があった。事務局は「(被災者を雇用し)農業経営の継承に期待している地域もある」とするが、福島の法人協会は「遠方の土地で就農することに足踏みする人もいる」とみる。

 伊達水蜜園の他にも、南相馬市で花や野菜の苗を生産していた法人が千葉県で生産準備を進めている。だが、多くの法人はまだ原発事故の影響などを見ている段階という。

2011年4月19日掲載

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