TOP2011年06月和洋菓子店「信州大黒屋」で再出発 福島・須賀川で被災、茅野で営業

 福島県須賀川市の和洋菓子製造・販売の「大黒(だいこく)屋」が、工場と店舗を茅野市塚原の市役所近くに移し、7月8日から「信州大黒屋」として業務を再開する。須賀川の店は東日本大震災でガラスや外壁が破損した上、福島第1原発から約60キロにあって放射能汚染も懸念される。知人のつてでたどり着いた茅野での再出発を決断。社長の伊丹由貴夫さん(50)は「長野県の食材で菓子を作りたい」と奮起している。

 大黒屋は1960(昭和35)年創業。いわき市出身の一家がブラジルで栽培するコーヒー豆を使ったゼリー、チョコレート入りで円柱形のもなか「大黒柱」などオリジナルの和洋菓子を売ってきた。

 福島第1原発で水素爆発が起きた数日後、伊丹さん一家は知人のつてを頼って長野市に避難。10日ほどして地元に戻ったが、工場稼働は難しい状況だった。

 知人がいた縁で茅野市を訪れ、飲んだ水が「菓子に合いそう」と感じたという。カメラ店があった約130平方メートルの建物を借り、福島の店でも併設していた喫茶スペースも設けることにした。今は近くのアパートで妻の香代さん(48)や中学3年の長男と暮らし、営業再開の準備を進める。

 福島から来られる従業員を呼び寄せるほか、地元採用も計画。長野県内の食材を積極的に取り入れ、同市特産の寒天のほか、中信地方の卵や牛乳などを使う予定という。

 伊丹さんは「茅野市で立て直し、この地で喜んでもらえる品を作ることがまず大切」としつつ、「もし将来、放射能汚染の危険性がなくなるようなら、併せて須賀川の店の再開も考えたい」と話している。

2011年6月28日掲載

災害用掲示板(安否確認)