TOP2011年12月「忘れていない」と伝えたい 被災地でたき出し続ける松本の料理人ら

 「炊き出し機動部隊みらい」と名乗り、東日本大震災の被災地で炊き出しを続けている松本市の料理人らが、31日から元日にかけて年越し炊き出しを計画している。炊き出しは被災地を忘れていないというメッセージを伝える手段だ、と料理人ら。過酷な災害に見舞われた年を現地で一緒に見送り、被災者との絆をより深めようとしている。

 みらいは全日本司厨士協会松本支部の有志でつくり、松本駅前で洋食屋を経営する浅田修吉さん(53)が活動の中心になっている。震災直後の3月下旬から計13回、被害が大きかった岩手県陸前高田市を訪れ、プロの料理を振る舞ってきた。

 炊き出しはありきたりではないメニューにこだわる。スペインのコメ料理パエリアやにぎりずし、刺し身を提供したこともある。年越し炊き出しでは、「料理を味わいながら家族や近所の人と年末年始を過ごしてほしい」と、活動拠点にしている陸前高田市の高校グラウンドにある仮設住宅の敷地で年越しそばやブリかま、雑煮などを振る舞う計画だ。

 13回全てに参加した浅田さんは、陸前高田の街を歩けば顔なじみから「マスター」と声を掛けられるほどになった。炊き出しが縁で浅田さんと知り合い、今夏には長男と松本市を訪れた陸前高田市の新田貢さん(48)は「(被災地を訪れる)芸能人より、炊き出しを続けたマスターが一番ヒーローですよ」と話す。

 みらいの活動に参加した料理人らも延べ300人に上るが、松本市で「炊き出しを続けている」と話すと、「まだ必要なんですか」と聞かれることがあるという。浅田さんは「同じ時間を共にすることで、被災者の心が何か一つでも満たされてほしい」と今後も活動を続けるつもりだ。大みそかは、通い慣れて「何ともなくなった」という、車で片道約10時間の道のりを行く。

2011年12月30日掲載

災害用掲示板(安否確認)