TOP2014年03月肖像画―再び家族一つに 飯田の画家、作品を遺族らに

 東日本大震災の犠牲者らの肖像画を無償で描いている飯田市八幡町の画家、山本拓也さん(42)が19日、被災者らに依頼されて新たに仕上げた作品4点を届けるためにワゴン車で宮城県に出発した。絵を持って被災地へ行くのは2012年7月、昨年8月に続いて3回目。震災から3年がたっても「家族を亡くした悲しみが癒えない人はたくさんいる」。その現実を胸に被災者の元へ出掛ける。

 4点のうち最も大きいF10号のスケッチブックに描いた作品には8人の顔が並ぶ。震災後に生まれた女の子(1)を真ん中に据え、両側に両親。その前に並んだ長女と長男、次男は震災で亡くなった。まだ9、6、4歳だった。この6人を見守るように夫婦の両親を上部に描いた。

 8人の絵を描くよう山本さんに頼んだのは、震災に伴い宮城県女川町から愛知県田原市に移り住んだ遠藤美貴子さん(36)。被災者から送られた写真を山本さんに託した。山本さんは支援ボランティアとして被災地に出向く中で遠藤さんと知り合った。

 過去2回に描いた犠牲者や被災者らは28人。だが、8人もの顔を1枚に描くのは初めて。「構図が難しい。断ろうかとも思った」という。その時、脳裏に浮かんだのは、自分が描いた絵を喜んでくれた遺族たちの表情だった。

 今月12日、亡くなった人と遺族が一緒に並ぶ家族の姿は「自分にしか描けない」との思いでスケッチブックに向かった。6時間半、休むことなく鉛筆を握って8人の顔を描いた。「家族一緒になれるからね」。鉛筆を走らせる手が止まらなかった。さらに2日かけて完成させた。

 山本さんと遠藤さんは今月4〜9日、震災のチャリティー展を田原市内で開き、2人が手掛けた絵やTシャツなどを販売した。売り上げの一部は絵を贈る活動にも充てる。

 震災から3年。山本さんは「絵を届けに出掛けることで、被災者のことを忘れてはいないというメッセージも発信し続けたい」。8人の絵は石巻市、他の3点は東松島市や女川町の被災者に届ける。

2014年3月20日掲載

災害用掲示板(安否確認)