劇的、全諏訪10度目V 熱闘の2日間

11月22日(火)

最終22区を区間新で快走、長野市を逆転して優勝を決めた塩川雄也さんを胴上げする全諏訪の選手ら=20日、飯田合同庁舎前

たすきを掲げ、中継所へ向かう4区宮坂俊輔さん。6人抜きで序盤の流れを変え、チームに勢いをつけた=19日、上田市秋和中継所前

 19、20日の第60回記念県縦断駅伝競走で、39年ぶり10度目の優勝を飾った全(オール)諏訪。初日は終日激しい雨、2日目は強い向かい風の中、ベテランと若手がそれぞれ持ち味を発揮して助け合い、一丸となって最終区の逆転による劇的な結末を呼び込んだ。歓喜に包まれる選手や関係者の声とともに、晩秋の信濃路217・6キロを22人でたすきをつないだ2日間の熱闘を振り返る。
 「チームワークを大事にする雰囲気が最高の結果につながった」。現役最年長の小口秀哉さん(48)=下諏訪町=が勝因を振り返った。練習方法を指導陣が選手と相談して決め、一体感の醸成に努めてきたことし。監督の小河原義友さん(49)=同町=は考え抜いて編成したチームが一つになった狙い通りのレースを振り返り、「選手が本当に良くやった」と目を細めた。
 1区の金沢拓則さん(21)は諏訪清陵高時代にボート選手、新潟大で陸上部に入った異色の経歴。「自分の力は出せた」ものの、区間11位の結果には「申し訳なかった」。その思いを拭い去るように4区の専大・宮坂俊輔さん(20)が6人抜きの快走。「自分の役目は一つでも前に出ること」と3位でつないだ。
 腰を負傷した小坂明史さん(37)=岡谷市=に代わって7区を走った東海大三高・高橋悠平君(16)=原村=は「前後の仲間を信じて自分のペースを守った」。10区の田畑幸司さん(30)=岡谷市=は脚に負担の掛かる白樺湖からの長い下り坂にも「気合で、終盤もスパートを掛けた」。
 松本市の松本城を一斉にスタートした2日目。新設の女子中学生区間を走った茅野市永明中の上原舞さん(13)は「初日、先輩方にリラックスするよう声を掛けてもらったおかげで緊張しなかった」と感謝した。17区を走ったエースの牛山純一さん(28)=原村=は優勝の喜びとともに悔しさも口に。「個人的には納得していない。自分もチームの成績も完全な勝ちを目指したい」と、早くも連覇へ目を向けていた。
 アンカー塩川雄也さん(28)は1週間ほど前にコースの概略を紙で示されただけで臨んだが、実業団選手の圧倒的な強さを見せた。「自分はちょっと力を足した程度。駅伝は一人ではなく、1年間優勝を目指してきたチームの頑張りがあったから」
 大会前、その塩川さんに「優勝するためにどうしても力を貸してほしい」と手紙を送ったコーチの石井俊久さん(47)=富士見町=は喜ぶ選手を見て涙を流した。今夏、初めて富士見高原での合宿と中学生の泊まり込み参加を提案、チームの和を高めることに心を砕いた。「来年の優勝を目指して、また一からスタートです」
 10年ほど前から諏訪地区の中高生を指導する元全諏訪監督の赤羽裕二さん(63)=下諏訪町=は39年前の優勝時に走った一人。沿道から教え子の宮坂さん、下諏訪向陽高・小林巧君(17)らの走りを見守り、「経験と知恵を伝えた子たちが自分を超えてくれたのがうれしい」と話した。
 ゴールを見届けた諏訪陸上競技協会の堀晃会長(73)=茅野市=は「勝ちを追求した昔とは違う、団結力の強い現代的なチーム」と評する。小中学生の競技人口も増えつつあるとして「この灯を消さないように、次回も結果を残してほしい」と期待を込めた。