HOME審査員選評第1回1コマまんがコンクール信毎フロント

【選評】

「感じたこと素直に伝えて」

昨年十一月に行った「新春俳句コンクール」の審査会では、「作品の中にどれだけ作者の感動が伝えられているか」に大きなポイントを置いて選考が進められました。審査員の方々から出された声を、選評としてまとめました。

◇ たくさんの応募に、学校やクラス、あるいは個人で熱心に取り組んでいる様子が分かります。 小学生の部では、風景やできごとを見たときの「一瞬の心の動き」をうまくとらえた新鮮な作品が目につきました。最優秀作品の西沢さんは、終わった後もなお持ち続ける音楽会の感動を表現したところに、感じる心の鋭さが見えました。
優秀作の中島君は、着飾った妹の姿に「かわいいな」とか「ちょっとうらやましい」といった微妙な気持ちが伝わってくるようです。小林君の作品は季語はなくても季節感が感じられます。自分の体から立ち上がる湯気に驚いている様子が目に浮かぶようです。
入選作では、身近な自然や生活のひとこまを、あたたかさや愛着を持って見ている作品が印象的でした。
中学生になると、自分の見たものだけでなく、自分の心の中など抽象的な世界を描き出す作品が多くなります。最優秀作の藤森君は、まだ見ぬ未来に「身を放つ」という引き締まった言葉で、希望や不安の入り交じった気持ちを表現しました。
優秀作の金子さんの句は手書きの年賀状を見ての感想です。その一言一言ににじむ心を感じ取っている作品です。「心も」という表現は、読む人の想像力をかきたててくれます。村沢君の句は季語がありません。しかし、自分の感動を表現している点では、季語を使って整えられた作品を上回る力を持っていると思います。悲しい顔が「明日」を見る、という表現で、作者の世界の見方が伝わってきます。
入賞作にも、ユニークな言葉遣いで、自分の体験をみずみずしく表現した句が選ばれました。
全体的に見て惜しい点は、ありふれた言葉を並べて情景を説明しているだけで、作者の思いが伝わらない作品も見受けられたこと。もっと自分の心と向き合い、わき上がってきた言葉を句に込めてほしいと思います。


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