12日の本番に向け公式練習に臨んだジャンプ女子の岩渕香里選手=11日、平昌

4年越しの舞台へ ジャンプ女子の岩渕香里選手

201802/12

 ノルディックスキー・ジャンプ女子の岩渕香里選手(24)=北野建設・上田市出身=が12日、平昌(ピョンチャン)冬季五輪の試合に臨む。ジャンプ女子が五輪種目に採用された2014年ソチ五輪は、その前のシーズン序盤に両膝に大けがを負った影響で選考漏れ。平昌の五輪初舞台は4年越しの思いをぶつけて、飛ぶ。
 松本大に在籍していた12年9月。遠征先のイタリアでアクシデントに見舞われた。着地の際に両膝の前十字靱帯(じんたい)を断裂。ソチ五輪を翌シーズンに控えた大事な時期で、「ソチは終わった」と絶望した。
 母親がインストラクターを務めるなど両親ともにスキーヤーで、姉と妹の3姉妹で小さな頃からスキーに親しんだ。菅平小6年の時には、それまで取り組んでいたアルペンスキーから、地元のジャンプ台で練習する男子に交じってジャンプに転向。ただ、「スキーは遊び。身近に環境があったからやっていただけ」と振り返る。
 13年夏。父親の亨秘(あきやす)さん(56)は、岩渕選手に頼まれて飯山市のジャンプ競技場まで車で送った。負傷後、初めてのジャンプ。恐怖心に顔をこわばらせながら、小さな台を必死に飛ぶ岩渕選手を見て、亨秘さんは胸が熱くなった。「まだ痛いのに。家で楽にしていればいいのに。本当にジャンプが好きなんだな」
 ソチ五輪の直前に復帰を果たしたが、3人の代表枠には入れなかった。ただ、ソチ五輪に行けなかったことで、スキーへの向き合い方が変わった。「自分の幼い頃までさかのぼって考えてみた。試合で負けても何とも思わず、闘争心もない。熱望して取り組んでいたわけじゃなかった」
 けがでジャンプを飛べない苦しい時期。自宅のテレビで見るしかなかったソチ五輪。その経験が気持ちのスイッチを入れた。「心からジャンプが飛びたいと思った。今は、けがをプラスに転換できた4年間だったとはっきり言える」
 11日午後8時すぎから厳しい寒さの中で行った最後の公式練習。岩渕選手は100メートルを超える好飛躍を見せるなど、状態を上げながら本番を迎える。「見ている人がワクワクドキドキするようなジャンプがしたい」。白い息を吐きながら、弾むような口調で意気込みを語った。