浅川・下諏訪ダム中止へ 県検討委、ダムなし案答申



田中知事に答申する宮地良彦委員長(右)

 田中康夫知事の「脱ダム」宣言を受け、浅川(長野市)、砥川(諏訪郡下諏訪町)の治水・利水のあり方を議論していた県治水・利水ダム等検討委員会(宮地良彦委員長、十五人)は七日、長野市内で十四回目の会合を開き、両河川とも「ダムによらない河川改修単独案」(ダムなし案)と「それに対応する利水案」を答申として決定、同日午後十時すぎ、県庁で知事に答申した。

 知事は記者会見し、「答申内容を読み込んで判断したい」と述べた。ただ、宣言の方向に沿う答申を得たことから、浅川、下諏訪の両県営ダム事業の中止を選択するのは確実とみられ、県内のダム行政のあり方が大きな転換を迫られる可能性が高まった。

 答申に従ってダムなし案を選択、知事がダム建設を中止した場合、本体工事を発注している浅川ダムは業者への賠償、国土交通省の補助金をどうするかといった問題が生じる。また、流域住民にどう「説明責任」を果たしていくかも大きな課題となる。二十日から始まる六月県会でも議論が集中するのは必至だ。

 委員会では、まず、起草委員会(六人)がまとめた答申素案の「結論」を除く部分を論議。最後に、宮地委員長が「結論」として「ダムによらない河川改修単独案及びそれに対応する利水案」が妥当と考える―との文書を提示した。

 これに対し、ダム案を支持する委員が「理由がなく結論が出ている」と強く反発。同委員長は「委員の意見を総合判断し、多数を優先した結果」と説明したが、委員ごとの意見やダム案、ダムなし案への賛否の人数は明らかにしなかった。

 その後、複数の委員から「多数意見を根拠としたことを明記すべきだ」といった意見があり、答申に盛り込んだ。

 検討委員会は、昨年二月県会で議員提案で成立した条例に沿って、昨年六月に発足。浅川と砥川の治水と利水のあり方について、流域住民参加の部会を設けるなどして議論していた。

 宮地良彦委員長の話

 (ダムなし案は)各委員の意見の集約の結果だ。結論ではなく、そうしたプロセスが「長野モデル」だ。十分だったとは思わないが、住民投票とは違った(住民参加の)一つの方法だと思う。ただ、当初は分からなかった問題が議論の途中で出てくることもあり、二つのダムの是非を検討するには一年では短かった。

 田中康夫知事の話

 幅広く濃密な議論をしていただいた検討委員、部会委員の方々に感謝したい。私は一貫して委員会の議論を尊重しながら見守ると申し上げてきた。答申を読み込み、県民にとってよりよい判断を下したい。

(2002年6月8日 信濃毎日新聞掲載)