表彰式

身近な興味を取材で深める

 第14回長野県こども新聞コンクール(信濃毎日新聞社、信濃毎日新聞販売店会主催)が、県内の小学生を対象に行われました。県内284校から計1万545点の応募があり、6地区ごとの審査を経た135点から優秀賞15点、奨励賞30点が決まりました。
 2日に長野市の信濃毎日新聞社で優秀賞の表彰式が行われるのに合わせ、優秀賞、奨励賞、入選の計135点を紹介します。児童らが身近な生物や食べ物、地域の伝統文化や戦争など興味を持ったことについて、大人に取材したり、資料を調べたりして考えを深めています。見出しや記事の配置、写真やイラストの使い方など分かりやすくするための工夫にも注目してください。

※写真かタイトルをクリックすると拡大して見ることができます。

信州サーモン新聞

佐久市・田口小5年 
山崎 一磨(やまざき・かずま)さん

調べて食べて驚いた

「『信州サーモンの稚魚出荷』の新聞記事を読んで、初めて名前を聞いた信州サーモンが気になって調べました。養殖している方から、信州サーモンにはメスしかいないことを聞いて驚きました。取材でカルパッチョや薫製を食べました。どれもおいしかったので、もっと人気が出てほしいと感じました。2年生の時から新聞を作っているけれど、今回は見出しを大きくして、内容が伝わりやすいよう工夫しました」

先生のひとこと

興味をそそる見出しや写真・図などを工夫し、読み手を意識した分かりやすい新聞に仕上げています。

これがきっかけ

山崎一磨さんが作品を作るきっかけとなったのは、安曇野市の県水産試験場押野試験池で信州サーモンの稚魚の出荷が始まったことを伝えた記事(信濃毎日新聞6月13日付朝刊第三社会面)でした。同試験場が信州サーモンを開発したことや、山崎さんの住む佐久地方の養殖業者が試験池を訪れて1万4000匹の稚魚をトラックの荷台の水槽に移した様子も書かれています。

長野の長寿食新聞

安曇野市・豊科北小6年 
小林 思音(こばやし・しおん)さん

特産品に長寿の秘密

 「長野県が男女ともに平均寿命日本一と書いた新聞記事を見て驚き、長寿の秘密を知りたいと思いました。新聞記事をヒントに食べ物について調べてみると、長野県の特産品が健康にいいものばかりで驚きました。伝えたいことがたくさんでまとめるのが大変でしたが、表や写真や絵を入れて見やすく工夫しました。友達にも体にいい食事に関心を持ってもらい、これからも長野県の長寿日本一が続いたらうれしいです」

先生のひとこと

長寿の秘密を食の観点で取材し、イラストや表を効果的に使いながら端的な文章でまとめています。

これがきっかけ

小林思音さんが「長野の長寿食新聞」を作ろうと思ったきっかけは、男性の平均寿命が最も長い市区町村が82.2歳の北安曇郡松川村となったことを伝えた今年8月1日付の信濃毎日新聞朝刊1面の記事「松川村男性長寿日本一」です。全国市区町村の上位50位内に県内は男性が19市町村、女性が12市町村が入り、あらためて「長寿県・長野」が裏付けられたことが書かれています。

エゾゼミしんぶん

下諏訪町・下諏訪南小2年 
田村 あず(たむら・あず)さん

成虫になるまで観察

「家族4人で行ったキャンプ場で薪を集めていたとき、地面を歩くエゾゼミの幼虫を見つけました。友達に見せてあげたいと思い、幼虫が抜け殻を残して成虫になるまでを新聞にまとめようと思いました。観察していると、おなかのところに糸を見つけました。家に帰ってからインターネットで調べてみると、呼吸をするための管だと分かりました。新聞にすると何が起きたかがよく分かります。みんなに見てもらいたいです」

先生のひとこと

エゾゼミが成虫になる様子を、写真を効果的に使いながら臨場感いっぱいに伝えています。

食物アレルギー新聞

小諸市・千曲小2年 
柳沢 理来(やなぎさわ・りら)さん

みんな一緒に給食を

「食物アレルギーの検査で通う神奈川県の病院で、ほかのアレルギーの子から『給食の時はお弁当を持ってきて1人で食べている』と聞きました。私は、アレルギーを起こす食べ物を抜いたみんなと同じ給食を作ってもらって、一緒に食べています。給食の先生が頑張って作ってくれていることを伝えたくて、この新聞を作りました。ほかのアレルギーの子も、みんなと一緒の給食が食べられるようになればいいなと思います」

先生のひとこと

ていねいな取材活動を通して感じた給食の先生への感謝の気持ちがいっぱいつまった新聞です。

走れ!飯田線新聞

箕輪町・箕輪北小4年 
小松 友大(こまつ・ゆうた)さん

歴史、本や資料で調査

「人がいてにぎやかな電車が大好きで、長野県の路線はほとんど乗りました。普段乗る飯田線の客が少なく感じたので、調べることにしました。歴史は本や資料で調べ、『秘境駅号』に乗ったり、JR東海に電話で聞いたりもしました。飯田線が無くては生活できない人がいることや、平岡ダムの紅葉のような美しい景色がたっぷりあることが分かりました。飯田線の魅力がもっと伝わって、大切にしてもらえたらいいと思います」

先生のひとこと

体験をもとに飯田線の魅力を自ら見つけて記事にしています。読者を飯田線に引き込む新聞です。

薬剤師の仕事発見新聞

松本市・信州大付属松本小4年 
浅輪 優花(あさわ・ゆうか)さん

すごい仕事伝えたい

「母が看護師で、同じ医療関係の薬剤師になるのが夢です。どんな仕事をしているのか知りたくて8月、信州大病院やかかりつけの薬局に話を聞きに行きました。難しそうだけれど患者さんのためになる仕事で、やってみたいと思いました。調剤や製剤など部屋がたくさんあったので、分かりやすいように部屋ごとに記事を書きました。患者さんに優しく接し、お医者さんの横で働くすごい仕事です。みんなに知ってほしいです」

先生のひとこと

大学病院と薬局の薬剤師の仕事の違いを明らかにしながら、薬剤師の役割を簡潔に伝えています。

ものづくり新聞

上田市・北小4年 
古田 咲希(ふるた・さき)さん

見出しの大きさ工夫

「金型工場で働くお父さんの仕事が知りたくて、テーマに決めました。お父さんから話を聞くうちに、金型が身の回りの多くの物を作っていることが分かり、驚きました。新聞作りは授業で1年前から取り組み、今回で5紙目。見やすいレイアウト、見出しを心掛け、強調したい文には赤線を引いたり、見出しの文字の大きさを重要さに合わせて変えたりして、2日で完成させました。新聞作りは楽しいのでまた作りたいです」

先生のひとこと

アンケートや関係者への取材を取り入れ、自閉症への正しい理解を願う思いを伝えています。ていねいな取材をもとに、金型工場の様子が、臨場感あふれる表現で分かりやすく書かれています。

ドクターヘリ新聞

長野市・昭和小4年 
土屋 羽瑠香(つちや・はるか)さん

まとめること難しく

「病院でドクターヘリの見学をして興味を持ちました。取材に行って信州大病院のドクターヘリに乗ると、思ったよりも狭くてびっくりしました。病院の先生にインタビューをしましたが、聞いたことをまとめるのが難しかったです。読みやすくするため、ドクターの一日の様子も入れました。聞きたいことは事前にお母さんと一緒に考えました。受賞はびっくりしたけれどうれしかったです。将来はお医者さんになりたいです」

先生のひとこと

取材をもとに得られたドクターヘリに関する必要かつ十分な情報が分かりやすく書かれています。

飯田つむぎ新聞

飯田市・鼎小6年 
小林 里緒(こばやし・りお)さん

伝統工芸品作り体感

 「飯田市の南信州・飯田産業センターで、飯田つむぎを使ったお土産を見つけて興味を持ちました。取材では工場を訪問し、染色の工程を見学しました。写真を使って、染色の工程を分かりやすくまとめられたと思います。また機織りを体験させてもらいました。布が張らないようにゆっくりと織るのが大変でした。水引だけでなく、飯田つむぎも飯田の伝統工芸品であることを皆さんに知ってもらいたいと思います」

先生のひとこと

取材活動から分かった飯田紬の価値や良さを、写真を効果的に使いながら分かりやすく伝えています。

駒ケ根元気新聞

駒ケ根市・赤穂小5年 
田代 向日葵(たしろ・ひまわり)さん

良いところ100人調査

「駒ケ根市の良いところを多くの人に知ってもらいたくて新聞を作りました。まずは駒ケ根の人たちの気持ちを聞こうと、JR駒ケ根駅前などで100人にインタビューし、『駒ケ根を元気にするもの』を調査しました。調査の結果をグラフにしたり絵を入れたりして、読みやすくなるように工夫しました。新聞を作ってみて、もっと地域のことを知りたいと思いました。読んだ人が駒ケ根を好きになってくれたらうれしいです」

先生のひとこと

駒ケ根市の魅力がいっぱいです。100人アンケートの資料化は駒ケ根の良さを効果的に伝えています。

よみがえれ!!諏訪湖新聞

下諏訪町・下諏訪南小5年 
徳永 祐岳(とくなが・ゆたか)さん

地図で分かりやすく

「夏休み前に諏訪湖沿いの道を歩いていたら、緑の葉っぱがたくさん浮かんでいるのに気が付き、興味を持ちました。もっと知りたいと思い、県水産試験場諏訪支場に行って話を聞きました。湖に浮かぶヒシに種類があることや、湖の中にはたくさん外来魚がいて被害が出ていると知りました。新聞は、ヒシが浮かんでいる場所を地図に書き込んで分かりやすくまとめました。頑張ったので賞をもらえてうれしいです」

先生のひとこと

増え続けるヒシと外来魚についての問題点を、分布図や写真を交えて分かりやすく説明しています。

旧陸軍松本飛行場新聞

松本市・菅野小6年 
大和 愛加(おおわ・あいか)さん

非戦の気持ち伝える

「旧陸軍松本飛行場の記念碑が昨年学校敷地内に立ち、新聞で特攻隊が飛行場にいたことを知ったのがきっかけ。夏休みに市空港図書館に飛行場の企画展を見に行って、出会ったおじいさんから飛行場で奉仕作業をした話を聞き、格納庫の跡も4カ所見つけました。特攻隊員は自分が死ぬと分かっているのに最後まで家族を心配していたと知り、切なくなりました。戦争がなくなってほしいとみんなが思えるよう伝えていきたい」

先生のひとこと

足を使った取材をもとに書かれた記事は、68年前の戦時中の様子を痛々しいほどに伝えています

野生動物共存どうする?どうなる?新聞

佐久穂町・八千穂小5年 
前田 望乃花(まえだ・ほのか)さん

レイアウトが楽しい

「家が山の中にあって、シカやウサギをよく見ます。でも野生動物が人間の住む所に現れると邪魔者扱いされてしまうので、野生動物と人間が共存できるかを調べました。知り合いの猟師の方から話を聞き、10年前と比べてシカがとても増えていると知ってびっくり。人間は町、動物は森と、自分のすむ所で共存することが一番良いと感じました。新聞作りで特に楽しかったことは、分かりやすいレイアウトを考えることでした」

先生のひとこと

見出しと写真が読者の興味を誘います。野生動物を通して、現代社会の問題点にも触れています。

GO!GO!別所線探検新聞

上田市・南小5年 
坪井 桜綾(つぼい・さあや)さん

図や写真、配置に工夫

「NHK連続テレビ小説『あまちゃん』に鉄道の話が出てきて興味を持ち、地元の上田電鉄別所線を調べてみました。駅員さんの話で、昔の総延長は今の約5倍だったと知って驚きました。車両の台数や夜にしまっておく場所も分かりました。別所線に乗って各駅で下車し、沿線のお薦めの場所をまとめるのに丸2日かかりました。配置は3回書き直して決め、図や写真を入れて見やすくなるよう工夫しました」

先生のひとこと

効果的な見出しや六つの謎をもとに、別所線について読者の興味関心を引き出す工夫がされています。

くだもの災害対策新聞

長野市・篠ノ井西小6年 
宮沢 茉那(みやざわ・まな)さん

インタビューは緊張

「お父さんからナシの霜の被害を聞き興味を持ちました。実際に農家の方に会わないと分からないことが多いので、インタビューをしました。緊張しましたが、聞きたいことはだいたい聞くことができました。農家の方がいろいろと知恵を絞って霜対策をしていることを知って、驚きました。新聞作りでは読む人が分かりやすいように書くのが難しかったです。受賞はびっくりしましたが、家族も喜んでくれて、うれしかったです」

先生のひとこと

4月の低温からナシを守った農家の営みを、見出しと写真を効果的に使い、分かりやすく伝えています。

【奨励賞の作品】【入選作品一覧】

講評を終えて 黒沢さんに聞く 「伝えたい」思いがいっぱい

県教育委員会教学指導課指導主事 黒沢 幸喜(くろさわ・こうき)さん

 良い作品には、作者の「魂」を感じます。作者の「魂」に触れたとき、私たち読み手は理屈抜きで感動し、作品に引き寄せられていきます。
 良い作品を見ると、取材でつかんだ事実や体験したことの感動を「伝えたい」という思いでいっぱいです。ワクワクするような見出しの言葉や臨場感あふれる記事の内容、そして、それらを裏付ける写真や絵図など、そのどれもが作者の「魂」として、生き生きと読み手に語りかけてきます。それだけではありません。作品を通して、夢中になって新聞作りに取り組んでいる子どもたちの姿が見えてきます。
 本年度は、1万545点の応募がありました。そのどれもが、読み手を引き付ける工夫や努力に満ちあふれており、相手に対する意識を持ちながら、表現力を着実に身に付けてきている子どもたちの力作ばかりでした。
 「伝えたい」という思いは、ていねいな取材や体験の積み重ねから得られる「感動」により、より大きな思い(「魂」)に成長します。そして、表現する力を高める原動力になっていきます。「感動」を大切にしながら、新聞作りにチャレンジしてみましょう。