渡辺明竜王

チャンスを生かす

渡辺竜王の話 挑戦が決まるまでは長い道のりで、ここまでよく勝ち上がれたと思います。棋王初挑戦の2年前は届かなかったので、相手は違いますが、今回はチャンスを生かしたい。王将戦とのダブルタイトル戦になりますが、初経験だし、日程の厳しさはやってみないと分かりません。郷田棋王とタイトルを争うのは初めてです。相居飛車になると思うし、対策を練って臨みたい。棋王戦は全国各地を回りますが、楽しみにしているファンに喜んでもらえる将棋を指したい。

わたなべ・あきら 所司和晴七段門下。00年、15歳でプロ棋士の四段に。羽生善治3冠らに次ぐ史上4人目の中学生棋士として話題となった。04年、20歳で初タイトルの竜王を獲得。08年に竜王戦5連覇で初の「永世竜王」の資格を得た。タイトル獲得は竜王9、王座1の計10、ほか優勝5度。終盤の読みの正確さに定評がある。東京都出身。28歳。

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 郷田棋王の念願の初防衛か、渡辺竜王の複数タイトル獲得か―。将棋界の2012年度を締めくくる信濃毎日新聞社など主催のタイトル戦、第38期棋王戦五番勝負、郷田真隆棋王(41)―渡辺明竜王(28)が2月3日に開幕する。第1局は信濃毎日新聞創刊140周年記念として、長野市の長野ホテル犀北館で午前9時から開催される。
 両者の対決はタイトル戦では初めて。郷田棋王は念願の初防衛を期し、2期ぶりに挑戦する渡辺竜王は初の棋王を目指す。居飛車の本格派同士による濃密な戦いは必至で、ハイレベルの攻防が予想される。

居飛車同士真っ向勝負


 渡辺竜王が激しい本戦トーナメントを勝ち抜き、2期ぶり2度目の挑戦を決めた。前回は当時の久保利明棋王に1勝3敗で敗れており、「相手は違うが2年前の悔しさを晴らしたい」と力強くタイトル奪取を誓った。
 最強の挑戦者といえるだろう。昨年11月、竜王9連覇を果たし、勢いに乗って王将戦に続き、本棋戦も挑戦者に名乗りを上げた。初のダブルタイトル戦にも「経験がないのでやってみないと分からない」と自然体を口にし、気負いはない。
 終盤の鋭い読みが秀逸。決断がよく、難しい局面にも思い切って踏み込むのが渡辺将棋だ。一気に寄せの形を築く剛腕ぶりは当代随一だろう。挑戦者決定戦第2局では羽生善治3冠の飛車切りという急襲を的確な受けでしのぎ、勝利をつかんだ。欠点も見当たらない。
 受けて立つ格好の郷田棋王も闘志満々。これまで王位1期、棋聖2期のタイトル経験があるが、3度とも初防衛に失敗している。それだけに「初防衛は大きな目標」と棋王防衛へ意欲を見せる。難敵相手の鬼門をどう乗り越えるか。
 調子も上がっている。今期A級順位戦は1勝3敗の滑り出しだったが、その後3連勝し、2局を残して残留を決めた。トップ棋士の証明でもあるA級の座を早々と守り、防衛戦に専念できるのは強みだ。
 剛直流と表現される妥協のない指し手は健在で、重厚で安定感がある。序盤から丁寧に指し、1時間を超す長考も珍しくない。「納得がいくまで考えたい」。凜(りん)とした対局姿勢は棋士のお手本だろう。
 お互いに居飛車を得意としており、本格派同士の真っ向勝負になりそうだ。矢倉、相掛かり、角換わりなどの最新形に進むことが予想され、「新手」が出現する可能性にも期待が膨らむ。
 両者の対戦成績は郷田棋王から見て6勝10敗。直近は渡辺竜王が4連勝中。ともに対策を講じて5番勝負に臨むと宣言しており、開幕局から激しい攻防は必至だろう。勝利の女神がほほ笑むのは念願の初防衛に懸ける郷田棋王か、複数タイトルに燃える渡辺竜王か。



大盤解説会・信毎杯信州アマ棋王戦・前夜祭も

 2月3日の棋王戦当日、長野ホテル犀北館の別室では対局を再現する大盤解説会が行われる。木村一基八段が解説し、松本市在住の長沢千和子(ちかこ)女流四段が聞き役を務める。時間は午後1時(受付は正午)から。参加費は一般千円、小中学生と高校生は500円。希望者は会場で申し込む。  この日、併催イベントとして同ホテルで「信毎杯信州アマ棋王戦」を開催。有段者、級位者の部は先着各32人、小学校低学年~中高校生の部は先着各16人が出場でき、同日午前9時半から整理券を配る。
 これらに先立ち、2日午後6時から、同ホテルで前夜祭も開催。郷田真隆棋王や挑戦者の渡辺明竜王らと懇談できる。住所、名前、電話番号、年齢、参加人数を書き、信濃毎日新聞社事業部「棋王戦」係(〒380―8546長野市南県町657、ファクス026・236・3370)にはがきかファクスで申し込む。申し込みが多い場合は先着順。
 問い合わせは同係(電話026・236・3399)へ。

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郷田真隆棋王

気合が入っている

郷田棋王の話 早いものでタイトル獲得から約1年が過ぎ、初防衛戦が近づいてきました。あっという間でした。A級順位戦などをこなしながら調子を上げていきたい。挑戦者の渡辺竜王は本戦で安定した戦いが印象に残りました。早見えで、決断がいい将棋です。以前対局しているときは年齢の差もあり、感覚の違いを感じていましたが、最近慣れてきました。戦型は相居飛車でしょうか。強敵ですが、気負いはありません。防衛は大きな目標なので気合が入っています。

 ごうだ・まさたか 故大友昇九段門下。90年にプロ棋士の四段に。92年の王位戦で、史上初となる最低段位の四段でタイトルを獲得。昨年、初の棋王位を奪取した。タイトル獲得は棋王1、王位1、棋聖2の計4、ほか優勝6度。順位戦A級は通算10期。本格派の居飛車党で、強気に攻める棋風は「剛直流」と呼ばれる。東京都出身。41歳。