社会への関心 光る視点

 第9回中学生新聞スクラップ作品コンクール(信濃毎日新聞社と信毎販売店会主催)は、県内24校から過去最多となる計1435点の応募がありました。生徒たちは社会に広く関心を持ち、それぞれの視点で選んだ新聞記事を貼って作品にしています。
 国際宇宙ステーション(ISS)に滞在している宇宙飛行士油井亀美也さん(南佐久郡川上村出身)や大相撲御嶽海(みたけうみ)関(本名・大道久司、木曽郡上松町出身、出羽海部屋)といった地元ゆかりの人々の活躍、戦後70年と平和、沖縄県の米軍基地をめぐる問題、自然保護や選挙権年齢の「18歳以上」への引き下げなど、話題は多岐にわたります。見出しやレイアウトも工夫してあり、今年どんなことがあったのかがよく分かります。
 伝えたいことの確かさ、読みやすさなどの基準で審査し、優秀賞10点、奨励賞20点、特別賞2点を選びました。
(受賞者の名前の前にある市町村名は学校の所在地です)

※写真かタイトルをクリックすると拡大して見ることができます。

優秀賞

聴こう沖縄の声を!~普天間問題から考える日本の未来~

長野市・若穂中3年 佐藤 陸玖さん

沖縄問題、共に考えたい

 「政府も沖縄県知事も、基地問題の解決策が見つからないのはなぜだろうと思いました。基地への不安、政府と知事の対立など記事の内容ごとにまとめましたが、普天間基地移設を強行する政府は、沖縄の人の声を聞いていないと感じます。戦後ずっと、米軍基地がある沖縄に住む人の怒りの意味を考えないといけません。長野県にも基地が造られたかもしれないのだから、沖縄の人が納得する解決策を共に考えたいです」

上原さんのひとこと

 大見出し、小見出しでストレートに問題提起しました。沖縄県民の立場で、自分のこととして追究しています。

優秀賞

宇宙へ挑め~油井さん宇宙へ 宇宙開発の課題~

長野市・若穂中3年 花岡 古都乃さん

夢の宇宙…平和を願う

 「小学生の時に漫画『宇宙兄弟』を読み、宇宙に興味を持ちました。長野県出身の宇宙飛行士、油井亀美也さんのことを知り、宇宙をより身近に感じ、もっと知りたいと思い、テーマに宇宙を選びました。宇宙開発の課題や油井さんの挑戦、そもそもの宇宙の説明―の三つに分け、見出しを大きくしました。宇宙の軍事利用が進んでいることを新たに知りました。世界中の人が夢みる場所が宇宙なので平和であり続けてほしいです」

上原さんのひとこと

 レイアウトの表現力が高い。油井さんへの賛歌であり、宇宙開発の軍事利用も取り上げて思考に深みがあります。

優秀賞

なでしこJAPNのみちのり~日本にパワーをありがとう!~

長野市・信大付属長野中2年 青木 詩麻梨さん

パワーくれたなでしこ

 「テニス部なので、スポーツ記事が好きです。サッカー女子ワールドカップ(W杯)カナダ大会で準優勝した『なでしこジャパン』の記事には、たくさんのパワーをもらいました。予選から決勝までの記事を時系列にまとめると、課題を克服できたか、どんな思いでプレーしていたかなどが分かり、チームの団結力を感じました。決勝では勝てなかったけれど、来年のリオデジャネイロ五輪では頑張ってもらいたいです」

上原さんのひとこと

 テニス部で頑張る自分に引き付けたコメントが効果的です。試合のポイントが書かれ、軌跡が分かります。

優秀賞

命の重さは皆平等?

長野市・長野日大中2年 松本 麻里さん

救う命と失われる命と

 「医者や研究者ら多くの人が力を合わせて救う命がある一方、事件に巻き込まれたりいじめにあったりして亡くなる命がある現状をニュースや新聞で知るたびに、『どうして同じ命なのにこんなにも違いがあるのか』と疑問に思っていました。記事をまとめる中で、1人の命を大切にするのも亡くしてしまうのも周りの人次第だと感じました。読んだ人に『命は平等だ』ということを意識してもらうきっかけになればうれしいです」

上原さんのひとこと

「命」を軸に多角的に記事を集めており、思考の柔軟性、日常からテーマを追究する様子がうかがえます。

優秀賞

信州から横綱へ

中野市・高社中3年 湯本 鈴花さん 
中野市・高社中2年 湯本 楓花さん

御嶽海関の活躍すごい

 「御嶽海関のような力士が長野県から出たことがすごいと思い、スクラップ作品にして信州のPRにつなげようと二人で考えました。活躍を伝える記事を中央にレイアウトし、周りに取組の写真、ファンとの交流を紹介する記事などを配置しました。御嶽海関が活躍することで、御嶽山の噴火で苦しむ出身地の木曽地方の住民も『頑張ろう』と思っています。相撲に励む姿が、周りの人を勇気づけていることがすごいと思いました」

上原さんのひとこと

 記事の並べ方に躍動感があり、御嶽海関の活躍が伝わります。信州出身力士を応援する心も感じます

優秀賞

人は宇宙へ 情報が宇宙から

千曲市・屋代高付属中2年 北村 かがりさん


より深く宇宙知りたい

 「県出身の油井亀美也さんが宇宙に行くなど話題が多い年でした。宇宙に興味があったので、見た人に興味を持ってほしいと思いました。宇宙の記事は一つ一つが大きいです。配置が大変な一方、注目度の高さを感じました。宇宙の研究などは長期間行われています。切り抜きを始めたのは6~7月でしたが、本などでもさかのぼって調べ、まとめを書きました。宇宙に詳しくなり、より深く知りたいと思うようになりました」

上原さんのひとこと

 油井さんの活躍に関連させて、惑星や月の様子も発信しています。矢印を使って大見出しを工夫しました。

優秀賞

未来の宝 子供達を守り育てる

千曲市・屋代高付属中2年 荻原 奈々実さん

絵を描き見やすく工夫

 「ニュースで子どもが病気やいじめで生きたくても生きられないことがあると知り、減らす方法を伝えたいと思いました。作品は見やすいように絵を描き、大見出しの文字を記事の見出しより大きくするなど工夫しました。まとめる中で、いじめを減らすために相手の立場で考える大切さを感じました。子育て支援の豊富さや子宮頸(けい)がん予防など医療の発達に驚きました。医療に関わる仕事が将来の選択肢の一つになりました」

上原さんのひとこと

 いじめなど苦しい現実があるけれど、広く世の中を見れば支援の手があることに気付き、前向きに発信しました。

優秀賞

絶滅危惧種を守るということを考える

佐久市・佐久長聖中2年 押金 こよみさん

生物の保護、広がる活動

 「子どものころから身の回りの生物に関心がありました。新聞の1面や地域面などに載るさまざまな生物に関する記事を集め、難しい内容の記事は自分なりに分かりやすくまとめ直しました。絶滅危惧種の保護について、自分が住む地域の活動ばかりに目が向いていましたが、県全体で取り組んでいることも知りました。絶滅危惧種を守ることは、環境を守ることにつながり、私たちの生活にとっても大切なことだと分かりました」

上原さんのひとこと

 動物の食害や外来生物も含めて記事を集め、人の生き方に問題提起しました。抑えられた配色で読みやすいです。

優秀賞

ドローンの功罪~我々はどうつきあっていくべきか~

佐久市・佐久長聖中2年 丸山 覚さん

安全に活用するために

 「4、5月に小型無人機ドローンに関する事件が頻発し、興味を持ちました。良い面と悪い面を色分けして分かりやすくしました。ドローンの規制についての記事を調べていたら、多くの自治体が規制をしていると知り、びっくりしました。ですが、安全に使えば面白い映像も撮れるし、災害で使えます。使用するための免許などを設ければ、安全に活用できるのではないかと考えました。今後の対策にも注目していきたいです」

上原さんのひとこと

 起きた事象を冷静に考察しています。「事件」「規制」の対極位置に「活用」がある並べ方が分かりやすい。

優秀賞

そのごみどうする?私たちの周りを取り巻くごみ問題

松本市・松本秀峰中等教育学校2年 中嶋 美侑菜さん

ごみ問題、幅広く調べる

 「身近なごみ問題から、原子力発電所の使用済み核燃料、宇宙のごみまで幅広く扱いました。調べる中でさまざまなことを知りましたが、飯田下伊那地方特産の『市田柿』を作る過程で出た皮を使ったかりんとうがあることに驚きました。考え方一つで、ごみが資源になることを学びました。小学校の時にこども新聞を読み始め、今は普通の新聞を読んでいます。知らないことがたくさん載っている新聞を読むことが楽しいです」

上原さんのひとこと

 ごみ問題を、切迫感を持って突き付けています。未来に向かい、発想の転換と技術という糸口を提案しています。

奨励賞

ようこそ魅力ある長野に! おもてなしの心届いてますか?

ようこそ魅力ある長野に! おもてなしの心届いてますか?

長野市・柳町中1年 
花輪 和弥さん

私達は戦争に行くのですか?~安全保障関連法案から見える僕の不安~

私達は戦争に行くのですか?~安全保障関連法案から見える僕の不安~

長野市・若穂中3年 
山崎 直也さん

「学ぶ、伝える原爆のこと」

「学ぶ、伝える原爆のこと」

長野市・広徳中3年 
朝日 優奈さん

どうなる!?沖縄基地問題 いつ解決されるのか

どうなる!? 沖縄基地問題 いつ解決されるのか

長野市・信大付属長野中2年 
丸山 侑紗さん

どうなる安保法案!

どうなる安保法案!

長野市・長野日大中2年 
横山 廉一郎さん

戦後70年~二度と過ちをくり返さないために~ 

戦後70年~二度と過ちをくり返さないために~

長野市・文化学園長野中2年 
木田 桃歌さん

長野J新聞

長野J新聞

小川村・小川中1年 
西沢 尚典さん

戦後70年の今を考える

戦後70年の今を考える

須坂市・墨坂中3年 
矢口 葵さん

終戦70年不戦の誓い 平和揺らぐ安保法案 憲法九条の葛藤

終戦70年不戦の誓い 平和揺らぐ安保法案 憲法九条の葛藤

中野市・南宮中1年 
田端 大樹さん

戦後70年 平和を願って

戦後70年 平和を願って

中野市・豊田中3年 
清野 遥菜さん

戦後70年平和のバトンをつなごう

戦後70年平和のバトンをつなごう

千曲市・屋代高付属中2年 
滝沢 舞花さん

「18歳」が日本を変える

「18歳」が日本を変える

千曲市・屋代高付属中1年 
小林 愛佳さん 重藤 月奈さん

善光寺御開帳から見た観光のあり方

善光寺御開帳から見た観光のあり方

佐久市・佐久長聖中2年 
斎藤 舞さん

二重面相ドローン~危険性と可能性~

二重面相ドローン~危険性と可能性~

御代田町・御代田中1年 
森川 景允さん

どうなる?私たち日本の未来

どうなる? 私たち日本の未来

南牧村・南牧中2年 
今井 理々子さん 井出 凜生さん

安保関連法 誰のための法案か?

安保関連法 誰のための法案か?

松本市・丸ノ内中1年 
小池 紗輝さん

OMF元年 響け松本に つなげ未来へ

OMF元年 響け松本に つなげ未来へ

松本市・開成中3年 
前川 素絵さん

日本の平和が危ない 私たちの声を聞いて!!

日本の平和が危ない 私たちの声を聞いて!!

松本市・松本秀峰中等教育学校3年 
林 真優さん

助け合う未来へ

助け合う未来へ

大町市・美麻中2年 
永沢 里々花さん

今、自然環境はどうなっているのか!?

今、自然環境はどうなっているのか!?

阿南町・阿南第二中1年 
金田 真愛さん

特別賞

戦後70年~人々の思いは今~

戦後70年~人々の思いは今~

長野市・戸隠中1年 
徳武 朋樹さん

火山への意識の差 御嶽山から学ぶ

火山への意識の差 御嶽山から学ぶ

松本市・松本秀峰中等教育学校3年 
笠原 望さん

考えを深める過程、見せる工夫

信濃毎日新聞社NIEアドバイザー 上原 准さん

 応募作品には、社会で起きていることが大きく反映されています。 南佐久郡川上村出身の宇宙飛行士油井亀美也さんの活躍、戦後70年や沖縄の基地問題、御嶽山での再捜索、そして大相撲の御嶽海関などが多く見られました。 長野県や国内だけでなく、ギリシャ財政危機、中東からの難民など海外に目を向けた作品、命や環境といった普遍的なテーマを扱った作品もありました。
 受賞作品は、大見出しで作者の考えを明確に示し、レイアウトに工夫があります。 いくつかの視点から作者の考えを裏付ける記事が配置され、日頃から関連記事を集めてきたことが伝わってきます。
 こうした発信をするためには、まずアンテナを絶えず高く掲げて記事を集める意思が必要です。 テーマを意識し、時間をかけ、幅広く、多角的に記事を集めれば、作品の完成度は高くなります。
 説得力(アピール性)がある大見出しを付けるには、事実を整理し、自分たちの問題として捉えることが大事です。 新聞記事の見出しを活用しながら、自分の言葉を使って、私たちが今後どうあるべきかを提案してほしいです。
 レイアウトは、見栄えがよければいいのではありません。記事の分類や並べ方に作者の考えが表れます。別の視点を与える記事やコメントを矢印でつないだ作品もありました。 考えを深める過程を見る側に共有してもらおうとの工夫です。
 スクラップ作品は、記事を読み解く力、分類する力、デザインする力などさまざまな力を付けることができるのです。