地域・社会見つめる力養う

 第10回スクラップ新聞コンクール(信濃毎日新聞社と信毎販売店会主催)は、新たに「小学生の部」を加えて行われました。 県内の小中学校74校から集まったのは1,827点。社会や地域への関心を、新聞記事の切り貼りを通じて深めた作品の数々です。 優秀賞17点、奨励賞23点、特別賞8点を紹介します。
 テーマは、リオデジャネイロ五輪、初めて迎えた国民の祝日「山の日」、選挙権年齢の18歳以上への引き下げといった話題の他、 世界で相次ぐテロや特殊詐欺事件の拡大、障害者差別などさまざま。 いずれも、普段、見聞きしているニュースが自分たちにどう関わるのか、どうすべきかをじっくり考え、分かりやすく伝えようとしています。
(受賞者の名前の前にある市町村名は学校の所在地です)

※写真かタイトルをクリックすると拡大して見ることができます。

中学生の部

優秀賞

変わる選挙

長野市・若穂中3年 中村 妃菜花さん

18歳選挙権で身近に

「選挙は大人のものだと思っていましたが、選挙権年齢の18歳以上への引き下げで身近に感じ、調べ始めました。主権者教育の記事では選挙権に戸惑いや不安を感じる高校生もいる一方で、人前で率直な意見を堂々と話している高校生もいます。政治というと難しく考えがちですが、身の回りにも考える材料はたくさんあると実感してほしくて県内の事例を集めました。私も若い立場からの視点を大切に票を投じたいと思います」

二木さんのひとこと

投票する若者たちと同じ前向きな視線が作品を通して伝わってきます。大見出しや写真も印象に残ります。

優秀賞

くらしの工夫

長野市・若穂中3年 黒岩 千里さん

目を引くデザインに

「NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』を見て現代版の暮らしの工夫をまとめようと思いました。目を引くデザインを意識し、中央のオレンジ色の鍋は絵の具で描きました。記事は暮らしの基本として衣食住の三つに分類。枠線はクレヨンで引きました。新聞には堅いイメージがありましたが、暮らしや生活の情報が載っていて意外でした。冷蔵庫の整理や服装選びなど、すぐに役立つ知恵ばかりです。試してみてください」

二木さんのひとこと

大見出しのデザインが読む人の関心を引きます。今日から役立つ衣食住の工夫が取り上げられています。

優秀賞

ホントにTPPは実施できる?
~リスク伴う経済政策に不安が止まらない~

長野市・若穂中1年 佐藤 日和さん

丁寧な議論 願い込め

「アルファベット3文字のTPPという言葉。聞き慣れないけれど、どうやら重要な問題らしいと感じ、とことん調べてみようと思いました。結論があらかじめ決まっているかのような政府の姿勢に違和感があり、批判的な視点で記事をスクラップしています。小見出しを付けたり、関連記事を矢印でつないだりして論点を整理しました。TPPに限らず、意見が分かれる問題は互いの話をよく聞き、丁寧に議論してほしいです」

二木さんのひとこと

日本の今後を左右するTPPをテーマに多面的に考察しています。継続してスクラップし、考えをまとめました。

優秀賞

最先端技術は人を幸せにできるのか

長野市・信州大付属長野中2年 菊池 樹さん

ロボットと共存大切

「人工知能(AI)を搭載した囲碁ソフトがプロ棋士に勝利したという事実を知り、ロボットが人間を支配するSF小説の世界観が頭をよぎりました。急速に進歩する技術に人間が取り残されることはないのかと不安でしたが、さまざまな分野で最先端技術を駆使したロボットが活躍し、多くの人の支えとなっていることを知りました。拒絶するのでもなく、手放しで歓迎するのでもなく、共存していく姿勢が大切だと思います」

二木さんのひとこと

興味を持っている最先端技術について、多方面の記事を集めました。生活に結び付けた分類が興味深いです。

優秀賞

明日へ 生きる 支えあう

中野市・高社中3年 湯本 楓花さん

被災地を忘れないで

「リオデジャネイロ五輪の陰で、熊本地震や御嶽山噴火の復興や鎮魂のニュースが少なくなっていると感じました。被災地の記事をまとめれば災害を忘れてしまった人も思い出してくれると思いました。右に熊本地震、左に御嶽山噴火の記事や写真、見出しをランダムに貼って人目を引くようにしました。タイトルが一番難しかったけれど、被災者を含めて人は支え合って生きている―という思いを込め、真ん中に配置しました」

二木さんのひとこと

災害が生活に与える影響の大きさが伝わってきます。被災地から、支え合う心を学んでいます。

優秀賞

ジビエ~ピンチをチャンスに~

千曲市・屋代高付属中3年 斎藤 杏さん

目を引くように工夫

「問題があると言うだけでなく、考えて行動する人がいることを知ってほしくて、ジビエを題材にしました。問題を整理し、考えた上で対策があるという流れをまとめました。目を引くため、写真を多用し、赤い色を使いました。ジビエの新作料理を作ろうとする同世代の若者に感動し、ペットフードに活用する取り組みに驚きました。新聞を読むことで、自分は何が分からないかが分かる。それが調べるきっかけになっています」

二木さんのひとこと

有害鳥獣の問題と対策を分かりやすくまとめています。命を生かすことでチャンスが広がると訴えています。

優秀賞

信州・山ビジネス 動植物編

御代田町・御代田中2年 森川 景允さん

山の「命」大切に使う

「数カ月分の記事を読み返し、鹿が人に引きずられている写真が目に留まりました。かわいそうだと思って読み進めると、樹皮を食べるなど鹿も迷惑を掛けています。どっちが悪いのか二つの方向から考え、まとめました。また、学校登山に行った時、山は観光のイメージでしたが、調べるうちに全てが命でできていると感じ、植物や木の加工についてもまとめました。命を人の生活に使わせてもらっている。大切に使いたい」

二木さんのひとこと

鹿捕獲を写した1枚の写真から、追究が大きく広がりました。課題ごとに色分けしたレイアウトが効果的です。

優秀賞

初の18歳選挙権~大人への第一歩~

松本市・信州大付属松本中1年 小畑 凜太朗さん

政治に興味を持てた

「選挙権年齢が18歳からに下がりました。自分が選挙権を持つのが5年後に迫っているので、何が変わるのか知りたいと思いました。参院選の結果を見ると、10代の投票率は半分に届かず、戸惑いがあったり政治を身近に感じられなかったりしたことが分かりました。未来の日本を動かす選挙の1票って大きいんだなと改めて感じました。政治に興味を持てたので、中学生のうちからニュースを見て政治のことを学びたいです」

二木さんのひとこと

18歳選挙権施行について、事前の対策、結果や課題をまとめています。丁寧な字や色使いが効果的です。

優秀賞

金を目指した女性達の思い

木曽町・開田中1年 大目 暖乃さん

東京五輪も注目したい

「リオデジャネイロ五輪で、五輪4連覇を期待されながら決勝で敗れたレスリングの吉田沙保里選手の悔しそうな感じが印象に残り、女子選手について取り上げようと思いました。バドミントンの奥原希望選手(大町市出身)のように、3位決定戦の相手が棄権して銅メダルが決まり、複雑な心境の選手もいました。どの選手もいろいろな思いで出場するのが五輪。2020年東京五輪もそんな思いに注目して見てみたいです」

二木さんのひとこと

リオデジャネイロ五輪を女性選手の思いでまとめています。小見出しが選手の活躍を一層引き立てています。

優秀賞

食の中には愛がいっぱい

伊那市・長谷中1年 和栗 智花さん

育てる愛情、感じた

「新聞記事のスクラップをしてみて『真田丸』という地鶏がいることや、バス会社が農業をしていることなど、私が知らないことがたくさんあるんだなと感じました。果物を一つ一つ大事に手で収穫したり、家畜を大切に育てたりしている写真や記事を通して、愛情がこもっているなと思い、このタイトルを付けました。食べるのが好きで、新聞には食のことがいっぱい載っています。これからもいろいろなことを知りたいです」

二木さんのひとこと

食に関わる人たちの思いが詰まった作品です。内容も多岐にわたり、記事の集め方に広がりがあります。

奨励賞

世界の女性リーダー

世界の女性リーダー

長野市・若穂中3年
小林 桜子さん

オリンピック選手の中学時代は?

オリンピック選手の中学時代は?

長野市・若穂中3年
山口 蒼生さん

超高齢社会どうする?日本の未来

超高齢社会どうする?日本の未来

長野市・広徳中3年
田口 心愛さん

原子力発電所を考える

原子力発電所を考える

長野市・信大付属長野中2年
武居 淳一郎さん

日本から発信~世界の人々と共に~

日本から発信~世界の人々と共に~

長野市・信大付属長野中2年
熊井 理央さん

オバマ大統領広島訪問は核軍縮への一歩?

オバマ大統領広島訪問は核軍縮への一歩?

長野市・長野日大中2年
布谷 直浩さん

超高齢社会どう向き合うか!?

超高齢社会どう向き合うか!?

須坂市・墨坂中2年
徳竹 洸太郎さん

英国EU離脱どうなる?世界経済

英国EU離脱どうなる?世界経済

千曲市・屋代高付属中1年
沖田 蒼さん

オリンピックにおけるフェアプレーとは?

オリンピックにおけるフェアプレーとは?

佐久市・佐久長聖中2年
滝之入 愛佳さん

50㎞競歩荒井選手銅メダルの理由

50㎞競歩荒井選手銅メダルの理由

松本市・信大付属松本中1年
古庄 美和子さん

人工知能やIT技術が世界を変える

人工知能やIT技術が世界を変える

松本市・松本秀峰中等教育学校3年
中嶋 美侑菜さん

戦後70年の歴史を経て-オバマ大統領訪問-

戦後70年の歴史を経て-オバマ大統領訪問-

松本市・松本秀峰中等教育学校3年
出井 かの海さん

相模原障害者殺傷事件

相模原障害者殺傷事件

木曽町・開田中2年
千村 花凜さん

IT産業未来を開け

IT産業未来を開け

原村・原中3年
篠原 智さん

助け合いの仕組み広がる

助け合いの仕組み広がる

伊那市・長谷中1年
川手 華瑠さん

特別賞

世界問題「テロ」と向き合う

世界問題「テロ」と向き合う

佐久市・佐久長聖中2年 
原田 穂香さん

初の祝日 山の日

初の祝日 山の日

長野市・戸隠中2年 
秦 雪野さん

山と共に生きる

山と共に生きる

小川村・小川中1年 
渡辺 京子さん

「奏でる」から学ぶ

「奏でる」から学ぶ

千曲市・屋代高付属中3年 
榎 美陽さん

見出しやグループ分け、訴える力アップ

信濃毎日新聞社NIEアドバイザー 二木 治樹さん

 10回目のスクラップ新聞コンクールには、18歳選挙権の施行、リオデジャネイロ五輪での日本選手の活躍、熊本地震、ポケモンGO(ゴー)など、 最近注目されている話題や社会現象をテーマにした作品が数多く寄せられました。
 新聞記事に触れていることで、社会的な視野だけでなく、社会を見る目や考え方の幅が広がります。
 今年から始めた小学生の部。低学年では、自分の生活や住んでいる地域に関係のあるテーマが多くありました。 学年が進むにつれ、災害や特殊詐欺、テロなどを取り上げたり、社会に対する作者の主張をコメントに盛り込んだりしています。 中学生の部では、高齢社会の課題、核問題、イギリスの欧州連合(EU)離脱、先端技術など、テーマはさらに広がります。
 入賞した作品は、大見出しでテーマや作者が訴えたいことをはっきりと書いており、作品作りを通して追究したい点が明確に現れています。 集めた記事をただ貼ったのでは、作者の思いが伝わりません。 小学生でも入賞作品は、記事をグループ分けして小見出しを付けたり、記事のうち注目した部分に蛍光ペンで線を引いたりしています。こうした工夫で、訴える力も強くなります。
 スクラップ新聞は、記事を使って作る自分だけのオリジナル新聞です。日常的な新聞スクラップの活動から自分の関心や考えを再発見し、作品を完成させた人もいます。
 スクラップ新聞作りによって、現代社会を見つめる感性と論理的な思考が育ちます。世の中の動きが詰まっている新聞を開き、課題意識がある小中学生になってほしいと思います。 これからもスクラップ新聞作りに積極的に挑戦してください。