地域や世界につながる窓

第11回スクラップ新聞コンクール(信濃毎日新聞社と信毎販売店会主催)は、
県内の小中学校71校から「小学生の部」「中学生の部」あわせて1787点の応募がありました。
作品サイズは、中学生が模造紙大(約110㎝×80㎝)、小学生はその半分(約80㎝×55㎝)。
いずれも新聞を開いて見つけた記事を基に、感じたことや考え、提言をまとめた作品です。
テーマは、食や農産物、暮らしやすさといった長野県の魅力、
国連での核兵器禁止条約採択や南米原産の強毒アリ「ヒアリ」発見といった今年のニュース、
深刻な人手不足や人工知能(AI)の技術進歩、
インターネットとの付き合い方など。
紙面いっぱいに大見出しや記事をレイアウトし、思いを伝えています。
優秀賞17点(小7、中10)、奨励賞17点(小7、中10)、特別賞9点(小3、中6)を紹介します。
(受賞者名の前にある市町村名は、学校の所在地です。)

※写真かタイトルをクリックすると拡大して見ることができます。

中学生の部

優秀賞

移住するなら信州へ

 長野市・信州大付属長野中2年 宮尾みやお 虹胡にこさん

県内に住む魅力、伝える

「長野県は、移住したい県ランキング1位の一方で、人口が減っている、と新聞で知りました。移住を後押しし、県内の人に長野県のいいところを再発見してもらいたいと思って新聞を作りました。子育てや暮らし、自然や文化の記事を使って長野県に住む魅力を伝えました。県外の人が長野県の印象について書いた作文や東信のお祭りの記事を通して、自分自身も知らなかった長野県の魅力に気付くことができました」

二木さんのひとこと

 大見出しが印象的。記事の配置から、移住が人口減少対策になるようにとの期待が伝わります。私も信州の魅力を再発見しました。

優秀賞

人手不足 日本経済を直撃!

長野市・信州大付属長野中2年 鈴木すずき はなさん

多くの対策があり、驚き

「テレビのニュースなどで宅配業者の人手不足問題について知り、人口減少や少子高齢化など授業で習ったことが実際の社会問題になっていることに面白さを感じて作りました。まだ働いたことがないので、図書館で記事を調べたり、親に人手不足の大変さを聞いたりしました。市役所に人口を増やすための課があるなど、想像より多くの対策があることに驚きました。AIとの共存など他の影響についても今後調べてみたいです」

二木さんのひとこと

 人手不足の影響を原因、課題、対策に分けて示しました。結婚や子育てがしやすい社会をつくるのは自分たちだ、とも考えました。

優秀賞

共生~認め合い生きていく社会に~

長野市・信州大付属長野中2年 牧内まきうち ひかるさん

偏見のない社会を願う

「相模原殺傷事件から1年がたち、新聞で差別・偏見という言葉を目にし、今も苦しい思いをしている障害者の力になりたいと思い、新聞を作りました。障害がある人の気持ちを考えるのが難しく思うこともありましたが、苦しむ当事者や家族の思いをまとめた時は、偏見をなくしたいと強く思いました。私の周りではないと思っていた差別や偏見が今も存在していました。障害がある人とともに歩める社会の実現を願います」

二木さんのひとこと

偏見の現状、家族や障害者の思いを分類し、小見出しも効果的です。声を聞くことが大事だとの考えは、もっともだと思います。

優秀賞

成るか!?AI革命
~人工知能が身近に迫る~

長野市・若穂中2年 佐藤さとう 日和ひよりさん

AI、4分野でまとめる

「AIの記事が目につき、ロボットや自動運転への興味もあって調べてみました。『IT革命』に倣って分かりやすいタイトルを付け、AIが活躍する『生活』や『交通』など4分野に分けてまとめました。病気を見つけるのに役立つことも知りました。ただ、ロボットに感情が芽生えて攻撃されたら怖い。人間の能力を超えると人間の仕事が減ってしまう課題もあります。使い方を誤らないよう気を付けなければなりません」

二木さんのひとこと

大見出しが端的で、レイアウトが的確なので、印象に残ります。課題への十分な対策で、より良い未来が築けるとまとめています

優秀賞

AIと人が共生する未来

長野市・長野日大中2年 大矢おおや げんさん

人工知能の役割に興味

「ニュースや教科書などで目にすることが多くなったAI(人工知能)が、社会でどんな役割を担っていくのか気になり、AIについての記事、関連しそうな記事を集めました。AIは万能だと思われがちですが、まだ感情を表せないそうです。なので、保育士など、ぬくもりが必要な仕事は人間がやらないといけない。AIがいろいろな仕事を担っていく中で、人間だけができる仕事を増やしていく必要があると思いました」

二木さんのひとこと

 AIの利用がさまざまな分野で急速に進む現状をまとめました。懸念を投げ掛け、人間にしかできないことにも目を向けました。

優秀賞

子育ての現実と未来~育児に苦しむ母親の悲鳴~

長野市・文化学園長野中1年 藤浦ふじうら えこーさん

母親だけが育児に疑問

「県外出身の両親は、親戚が近くにいない中、2人で協力して私と弟を育ててきたと聞きました。今の日本社会は、『イクメン』という言葉が流行ったのに、母親が育児をして当然という考え方もあるのはおかしいと思い、子育ての現状、未来、対策の3項目にまとめました。子育ての苦労を誰にも言えずに苦しんでいる母親もいます。父親はもちろん、地域全体で協力して子どもを育てられる体制ができればいいなと思います」

二木さんのひとこと

「ワンオペ育児」との言葉が、現状と問題意識を浮き彫りにしています。解決法も暗示しており、作者の人権感覚が伝わります。

優秀賞

はばたけ中学生

上田市・依田窪南部中2年 北野きたの 友愛ゆうなさん

上田市・依田窪南部中2年 翠川みどりかわ 日和ひよりさん

二木さんのひとこと

同じ中学生の活躍を通して、小さなことでも学校や地域の役に立ち、自分も成長できるとのメッセージを発信しています。

自分にできること探す(北野友愛さん)

「藤井聡太さんや張本智和さんをニュースで見て、中学生なのに大人に交じって活躍していてすごいと思い、このテーマにしました。大きなテーマを決めてから新聞を眺めてみると、活躍の場はスポーツ以外にもあることに気付きました。自分たちの工夫を生かして地域貢献や社会貢献をしている中学生が県内にもいることを知りました。大きなことはできないかもしれないけれど、自分にできることを探してみたいと思います。」

頑張る姿に勇気もらう(翠川日和さん)

「中学生にできることは少ないと思っていましたが、藤井聡太さんや張本智和さんの活躍に衝撃を受け、スクラップにしようと思いました。スクラップは写真や色を使って見やすいように工夫しました。記事を集めてみると、同世代の頑張る姿にとても勇気をもらいました。特に地域活性化に貢献する県内の中学生の記事を見て、私も地域を支える活動がしたいと思いました。何ができるか考え、今後チャレンジしてみたいです」

優秀賞

信州の山と生きる私たち

佐久市・佐久長聖中2年 松川まつかわ 杏奈あんなさん

安全な登山 何が必要か

「新聞を読む中で、危険だという理由で学校登山をやめる小中学校があると知り、驚きました。そこで、安全な登山には何が必要なのかを考えようと思いました。スマホを使って登山者の位置を記録し、遭難時にはいち早く発見するシステムなどが記事になっていたので、紹介しました。小学生の頃、蓼科山に登って味わった達成感は忘れられません。登山はとても貴重な経験であることを、多くの人に知ってもらいたいです」

二木さんのひとこと

危険だから、と学校登山を中止することに疑問を投げ掛けています。訴えや根拠が明確で、見出しの色にも思いが表れています。

優秀賞

逆転~その原動力とは~

松本市・信州大付属松本中2年 小畑こはた 凜太朗りんたろうさん

諦めないで粘る、大切に

 「陸上の長距離とバドミントンをやっており、新聞のスポーツ面をよく読みます。『逆転』の文字に着目し、その原動力を記事から探ってみました。サッカーや野球、スピードスケートなどさまざまな競技に関する記事からは『諦めない』『粘る』などのキーワードが浮かび上がり、逆転は偶然起こるのではなく、選手の気持ちが生み出すのだと感じました。何事においても諦めずに粘り続けることを大切にしていきたいです」

二木さんのひとこと

 「逆転」に着目し、共通点を見つける着眼点が斬新です。偶然でなく気持ちが生み出すと気付き、自分の生き方にもつなげました。

優秀賞

ミライノクルマ
~ゼロエミッションと死亡事故ゼロに向かって~

阿南町・阿南第一中1年 熊谷くまがい 七海ななみさん

車への興味が深まった

「車が好きなので、自分が運転免許を取る将来にはどんな車が走っているのか、関心を持ちました。排気を出さない車や高齢者の安全を守る技術など、環境や人に配慮した開発が進んでおり、読んだ記事を技術のテーマごとに分けました。長文の記事は理解するのに時間がかかり、何度も読み返しました。自動運転の事故や高齢者の限定免許の話題など、技術と社会の課題が絡んでいると感じ、興味が深まったと思います」

二木さんのひとこと

 環境負荷が少ない車や自動運転など、未来の姿が見えてきます。山間地や高齢者の視点からも、必要性と安全性を考察しています。

奨励賞

世界の女性リーダー

満蒙開拓の歴史と平和の大切さを伝えた飯島春光先生

長野市・篠ノ井西中2年
井沢いざわ 優菜ゆうなさん

オリンピック選手の中学時代は?

憲法9条

長野市・若穂中3年
湯本ゆもと 泰地たいちさん

超高齢社会どうする?日本の未来

誇れる!!長野県産 食の宝

長野市・若穂中1年
斎藤さいとう 文那あやなさん

原子力発電所を考える

語り継ぐ~今日の聞き手は明日の語り手~

長野市・広徳中3年
木下きのした 実咲みさきさん

魅力いっぱい 信州の夏

魅力いっぱい 信州の夏

長野市・信州大付属長野中2年
竹村たけむら 萌恵もえさん

見直そう。ネットの有り方

見直そう。ネットの有り方

上田市・第一中2年
西村にしむら 彩音あやねさん/山越やまこし めぐみさん

超高齢社会どう向き合うか!?

この状況を放っておける?

南牧村・南牧中2年
中原なかはら 杏樹あんじゅさん

英国EU離脱どうなる?世界経済

8月の悲劇 6日・9日

松本市・松本秀峰中等教育学校3年
西沢にしざわ 知音ともねさん

オリンピックにおけるフェアプレーとは?

風刺画から見る日本

阿智村・阿智中3年
金子かねこ 詩奈しいなさん

50㎞競歩荒井選手銅メダルの理由

大きく育って、ライチョウ

阿南町・阿南第一中3年
井東いとう 夏子なつこさん

特別賞

人と動物達が共生する未来へ

人と動物達が共生する未来へ

千曲市・屋代高付属中1年
北沢きたざわ 来実くるみさん

他県に広めたい!長野県行事

他県に広めたい!長野県行事

南牧村・南牧中2年
高見沢たかみざわ 咲々さささん/伊藤いとう 良菜らなさん

健康長寿 生涯現役の未来を願って!

健康長寿 生涯現役の未来を願って!

御代田町・御代田中1年
森泉もりずみ 優芽ゆめさん

みんなちがってみんないい

みんなちがってみんないい

松本市・松本秀峰中等教育学校3年 川村かわむら 享大たかひろさん

真実と嘘

真実と嘘

佐久市・佐久長聖中2年
篠原しのはら 生楽みらくさん

ヒアリ日本上陸

ヒアリ日本上陸

 原村・原中2年
戸谷とや 春輝はるきさん

見出しで考え明確に レイアウトにも工夫

信濃毎日新聞社NIEアドバイザー・元県中学校長会長 二木 治樹さん

 第11回スクラップ新聞コンクールには、人工知能(AI)技術や子育て、少子高齢化など、今まさに注目されているニュースや社会問題をテーマにした作品が多く寄せられました。今年も、小中学生の目で見た現代社会の特徴や課題を知り、はっとする場面が多々ありました。また、若々しく鋭い感覚に触れることができました。  新聞を開くと、身近な地域から海外まで広い範囲の出来事が載っています。読むことで自分と社会がつながり、そこに課題を見つけ、多様な視点から考える力が育ちます。集めた記事から考えたこと、思ったことを一つのテーマでまとめたのがスクラップ新聞です。  小学生の部は2年目を迎えました。低学年では、地域で活躍するお年寄りや子どもたちなど身近なテーマが目立ちます。学年が上がるにつれ、核兵器禁止条約を取り上げたり、戦争の悲惨さを伝えようとしたりと、社会に対する意識の高まりが見えました。主張があるコメントもありました。  中学生の部では、世界で活躍する若者たちやAI、障害者との共生、子育て、未来の車など、テーマがさらに広がります。現実社会の課題を深く見つめると同時に、自分たちと社会の将来に目を向けていました。  受賞した作品の多くは、大見出しで考えを明確にしています。集めた記事を内容別に分けて小見出しを付けるなど、レイアウトにも工夫があります。作者が意見や思いを込めたコメントは、見た人の関心を記事にも広げ、作品全体の説得力を支えています。  複雑で不透明な社会を自分の力で生きていくためには、自分から知ろうとし、考えることが欠かせません。これからも新聞を開き、友だちや家族と話したり、考えたりしながら、社会に関心を持ち続けてほしいと思います。