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| 市立岡谷病院が敷地内に開設している発熱外来の建物。病院は当面、医師などの態勢を維持する方針だ=岡谷市 |
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成田空港の検疫で5月9日、新型インフルエンザ感染者が国内で初めて確認されてからまもなく1カ月。同16日には神戸市で検疫以外での感染例も判明し、関西地方で感染が一気に広がった。ただ、その後新たな感染確認例は減少傾向に。まだ感染者が確認されていない長野県は5日、保健所などの電話相談の受付時間を6日以降、短縮すると決めた。「見えない敵」への対応は長期戦の様相が強まっており、秋以降に流行が懸念される「第2波」を見据えた動きも出始めた。
<第2波に備え医師確保も>
「時間は短縮するが、警戒を緩めるわけではない」。県健康づくり支援課の担当者は、電話相談態勢の縮小についてこう強調した。
県と長野市が4月下旬、県庁と県内保健所に電話窓口を設置して以降、6月4日までの相談の累計は約6000件。神戸市で5月16日に高校生の感染が確認された後、一時は1日の相談が500件以上に達した。だが、国内での感染確認例は同月20日前後をピークに減少傾向。これに伴い、県内の相談件数もここ数日は1日100件程度に落ち着きつつある。
こうした中で県は、感染を心配する県民の相談に県庁や各保健所が対応し、必要に応じ発熱外来を紹介する現行態勢の基本は維持しつつ、時間の短縮を決めた。
現在、午前9時~午後9時に開設している電話相談は6日以降、県庁と長野市保健所は土日を含む午前8時半~午後7時、県内10カ所の保健福祉事務所(保健所)は土日を含む午前8時半~午後5時15分に変更=表。時間外は県庁や各保健所の夜間受付で応対し、担当職員から電話をかけ直す対応は維持する。
新たな感染確認例は減ったものの、新潟や静岡、山梨など隣県でも感染者が確認されるなど地域的な拡大は続いており、いつ長野県内で発生してもおかしくない状況だ。「職員の負担以上に、いつ終息するのか見えないのが苦しい」。東信地方の保健福祉事務所の職員はそう漏らす。
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新型インフルエンザの国内対策について、政府は5月22日、地域ごとの感染状況に応じ、医療態勢や休校措置などを柔軟に運用できる新たな方針を決めた。
ただ、長野県のように感染者が確認されていない地域では、基本的な対応は同じだ。仮に県内で感染者が確認されれば、感染症指定医療機関への入院を求めるほか、外出や集会の自粛、休校の範囲や規模を検討するなど感染拡大の防止が重視される。
岡谷市立岡谷病院は、県からの指示がない限り、これまで通り敷地内の建物に発熱外来を置き、昼夜を問わず診察に対応できるようにする方針だ。「緊張感は緩められない」と宮沢保仁事務長。飯田市立病院は、発熱外来の「受付」として病院外に設けた仮設テントを5月下旬に撤去したものの、感染が疑われる患者が受診する場合に備えて、担当医師や看護師らが即応できる態勢は継続している。
県は、発熱外来の簡易検査でA型陽性反応などが出た場合、県環境保全研究所(長野市)や長野市保健所で詳細(PCR)検査を実施。これまでに県内でも、詳細検査に至った例は複数あったという。ただ、海外渡航歴や神戸市などへの滞在歴があるといった「疑い例」には当たらず、結果的に感染も確認されなかった-として検査件数などは明らかにしていない。
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こうした中、秋冬に予想される「第2波」の流行をにらんだ動きも出始めた。市街地の駐車場に独自に発熱外来を設置した松本市。これまでに診察に当たる医師を100人以上確保したという。市は5月下旬に実施した訓練を踏まえ、マニュアル作りを進める。診察する医師や市職員の保健師らスタッフの態勢は「第2波」に備えて引き続き整えておくという。
県は、まん延期に診療所を含む医療機関がどう役割分担するか、事前に調整しておく必要がある-として、保健所単位での検討に着手。6月県会には検査態勢の強化など対策費に1億7100万円を計上する方針だ。7~8月には医療従事者を対象にした研修会も開く。
今回のウイルスが弱毒性とされたことから、医療関係者には「県民に、新型インフルエンザはこの程度かと思われてしまったら困る」との声もある。初めての経験を、今後の危機管理にどう生かしていくか、手探りの対応が続く。