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知事 提案説明(要旨)
2月22日(金)
掲載
昨年十月二十六日の就任以来、四カ月近くにわたって、県民の皆様と県政のあり方に関し、極めて具体的に言葉を交わす、数多くの機会に恵まれました。実に充実した日々を過ごさせていただける自身の運命に、改めて悦(よろこ)びを噛(か)み締めております。
県庁一階に設けましたガラス張りの知事室で、あらかじめ御予約いただいた皆様をお迎えする「ようこそ知事室へ」にはたくさんの御応募をいただいています。長野県の現在と未来を真剣に考えておられ、むしろ私の方が数多くを学ばされます。
そうした思いを抱くのは、県内各地で順次開催中の車座集会へ赴(おもむ)いた際にもです。今月出掛けた人口二千数百人の鬼無里村と栄村でも、四、五百名もの方々がお集まり下さり、いずれも三時間近く、御質問や御意見、御提言を活発にお寄せ下さいました。
県職員との車座集会も、既に県庁のみならず松本、上田、大町、木曽の各合同庁舎でも実施し、パブリック・サーヴァントとしての理念の共有化に努めています。加えて新年度からは、各地域に点在する庁舎の一画に机を借り、一カ月に連続三日乃至(ないし)は四日間、県庁を離れて執務を行い、今までにも増して数多くの現場を視察し、数多くの職員や県民と論議を深める県知事でありたいと考えています。
先の十二月県議会定例会における、知事議案説明要旨に付け加えての演説の最後で、パブリック・サーヴァントとして全身全霊を二百二十万県民の幸せのために投じる覚悟を改めて表明し、次の一文を申し述べました。「日本の背骨に位置し、数々の水源をも擁(よう)する、この長野県から、新しい民主主義のスタンダードとしての『長野モデル』を、向上心に溢(あふ)れる県民の皆様と共に構築してまいります」と。
森林整備を大きな柱の一つに据えましたのも、こうした基本理念に基づく施策の一環です。営林に留まらず、CO2を削減し、涵養林(かんようりん)としての保水機能を高める上でも、小まめな間伐を含む造林事業への傾注投資が、新世紀の長野県に課せられているのです。
同時に、一昨日の「脱ダム宣言」でも申し上げましたが、数百億円を投じて建設されるコンクリートのダムは、看過し得ぬ負荷を地球環境へと与えます。さらにはいずれ造り替えねばならず、その間に夥(おびただ)しい分量の堆砂(たいさ)を、これまた数十億円を用いて処理する事態も生じます。よしんば、河川改修費用がダム建設より多額になろうとも、百年、二百年先の子孫に残す資産としての河川・湖沼の価値を、我々は重視すべきなのです。別(わ)けても日本の背骨に位置し、数多(あまた)の水源を擁(よう)する長野県には、県境を越えた下流域に暮らす市民に対する、真の意味での治水と利水の責任も存在すると考えます。
長野県には地質構造線が走り、複数の活火山も存在します。一月末の大雪などで無念の死を遂げられた方々に、哀悼(あいとう)の意を改めて表するとともに、天災・人災を問わず不測の事態に対処するべく、災害危機管理指令室なる仮称で想定する組織の早期立ち上げと充実を目指します。
また、長野県政策評価制度を四月からスタートさせます。ステップ1との位置付けの下、皆様の御意見を伺いながら、引き続き改善を図ります。入札制度に関しても抜本的見直しを行い、公明正大なるシステム化を目指します。
碩学(せきがく)として評価高き知の最高峰を招いての「トークセッション21」。活気に満ち溢(あふ)れる全国各地の商店街から経営者を招いてミニ車座形式で刺激し合う「賑(にぎ)わい創出研究会」。意欲ある農業者と食品産業・観光業等の関係者が侃々諤々(かんかんがくがく)と議論し合う「あぐりビジネス侃諤(かんがく)プラザ」。松本市を流れる女鳥羽川の護岸改修のあり方に関して検討し合う「女鳥羽川水辺のあり方検討会」。そのいずれもに、県民は自由に参加し、自由に発言出来るのです。
平成十三年度予算案は、長野県長期構想や第二次長野県中期総合計画など県政の連続性をも踏まえながら、県政が直面している重要な課題に積極対応いたしました。
第一は、IT化の推進であります。IT、すなわち情報通信技術は、行政や産業の分野にとどまらず、今後の私たちの日常生活においても、利便性と新たな価値を創出する記号として、大いに期待されております。このため、昨年十二月に設置いたしました情報通信技術活用推進本部を中心に、医療・福祉や教育、防災など様々な分野に積極的な導入を図ってまいります。
第二は、福祉のまちづくりの推進であります。高齢者や障害者が安心して暮らせ、そして気軽に街の中に出ていけるよう、福祉のまちづくりを一層促進してまいります。県庁などを訪れる障害者や高齢者、子ども連れの方々など、様々な利用者の形態に目配りしたトイレの設置・改修を計画的に進めていくほか、高齢者や障害者に配慮した施設の一層の充実に努めて、バリアフリーを促進してまいります。
第三は、障害者が利用する施設の充実であります。西駒郷と稲荷山養護学校につきましては老朽化が進み、改築が必要となっているところですが、まずは稲荷山養護学校に関し、長野市南部地区などの知的障害児も受け入れることが可能な全面的な改築に向けて、測量や地質調査、基本設計を行ってまいります。また、西駒郷につきましては、隣接する県立駒ヶ根病院とともにそのあり方も含め、今後の改築に向けての具体的検討を始めてまいります。
第四は、教育問題であります。現在学校教育において取り組むべき課題は学力の向上をはじめ多岐にわたっており、不登校や中途退学などの問題は多様で複雑化してきております。このような中で県民の関心も極めて高い教育問題につきましては、高校通学区の見直しをはじめ今後の長野県教育のあり方全般について、様々な方の意見を頂戴(ちょうだい)しながら、いま一度足元から検討を行ってまいります。
第五は、森林整備の促進であります。繰り返し申し上げるが如(ごと)く、本県は日本の背骨に位置し、水源となる森林が県土の約八割を占めております。また、森林は、災害の防止など国土の保全はもとより、大気の浄化など環境の保全、資源の持続的供給、心身の癒(いや)しなど多くの機能を持っておりますし、森林整備を促進することには新たな雇用創出効果とそれに伴う土木・建設業など他産業の参入も期待できるところであります。このような森林を保全・育成すべく、百年の計とも言うべき息の長い事業ではありますが、長野県から始まる一つの運動として企業やNPO、地域社会とも連携を強めながら、積極的に間伐などの森林づくりに力を注いでまいります。
第六は、公共投資のあり方の見直しであります。旧来のいわゆる三公共を中心とした公共投資から、福祉・教育・環境など県民生活を重視した公共投資へと、予算の重点化を図ってまいります。こうした中、公共事業の抜本的な見直しを行ってまいります。
県政の運営につきましては、いささか硬直化し、疲弊気味な現在の民主主義におけるプロセスの見直しを行い、県民と同じ目線に立って、県政を運営してまいります。今後も現場主義の徹底や車座集会、知事室での懇談などを通じて、県政への県民参加を促進するとともに、四月から実施となります新たな情報公開制度の適切な運用などを通じて、開かれた県政の一層の推進に努めてまいります。
また、縦割り行政の弊害から脱却して、多様な県民ニーズに的確に対応し、総合的な視点に立って一体的な政策を遂行するべく、新たに政策秘書室を設けます。また、県内外の有識者を特別顧問として任命し、当面する重要課題や今後の長野県のあり方などについて助言を得ながら議論を深めてまいります。さらに、県の施策が県民生活に確かな効果をもたらしているかという点を見据えて県政を推進しながら、施策の課題や対応方向について県民に説明責任を果たし、パートナーシップを築いていくため、政策評価制度ステップ1をまずは実施してまいります。これらの取り組みを通じまして、新たな県民参加型の行政システムづくりと、真の県民益の実現に力を注いでまいります。
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