田中知事の所信表明(要旨) 「長野モデル」へ決意
9月27日(金)
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また、恐らく一連の総括を、それぞれに代表質問および一般質問の中で行われるでありましょう県議会の皆さまとの議場における今回の議論が、開かれた県政改革を願う一人ひとりの県民のもとへと的確にお伝えできることを願っています。
私が公約として掲げてまいりました項目に関する基本的な考え方をご説明申し上げ、ご理解を賜りたく存じます。 「いつでも・どこでも・だれもが」を合言葉に、年齢や性別、肩書や経歴、国籍や障害の別を問わず、長野県に暮らし、長野県を愛する二百二十万県民の一人ひとりが、生きる意欲を持って自律的に判断し、行動していける長野県、すべての県民に開かれた公正なチャンスを提供する長野県を目指してまいります。 長野県の産業構造を、従来の公共事業依存型から脱物質主義のスウェーデン型へと構造転換させねばならず、こうした哲学に基づいて全国に先駆け、これまでの公共事業のあり方を見直し、産業構造の転換を図っていこうと、繰り返し申し上げてきました。それはすなわち、県民の皆さんがお支払いくださる税金の使い道、事業の決め方や進め方、こうしたすべてを公僕たる私をはじめとする県職員全員が、問題解決型志向で根底から組み立て直す作業であります。一年九カ月近い県政をいかにとらえるかの最大争点でもありました「脱ダム」宣言が意味するところは、コンクリートを用いてのダム建設の是非や環境問題にとどまりません。「福祉医療・教育・環境」分野への傾注投資によって、それらの分野における新たな雇用の創出を図り、長野県の経済や社会の活性化を図っていこうという意思表示でもあるのです。 量から質への発想の転換が叫ばれて久しいにもかかわらず、諸外国よりもはるかに成長を遂げたはずの日本の社会には、閉そくと疲弊の空気が色濃く漂っています。こうした中、日本の改革をリードする私たちは、「長野モデル」を早期に確立せねばなりません。「優しさ・確かさ・美しさ」の観点に立って、長野県の基幹産業たる「製造業・農林業・観光業」が有する潜在能力と、二十一世紀型の新たな労働集約的産業とも呼ぶべき「福祉医療・教育・環境」の連携と融合。その実現に当たり、パブリック・サーヴァントたる私たち県職員一人ひとりは、「県民の喜びは私の喜び」という奉仕の精神を抱いて、向上心にあふれる県民と県民とを結び付ける接続コードの役目を果たしながら新しい産業を育成し、雇用の創出を図ってまいります。 そのためにも、人々が自律的に判断し行動する“日本のスウェーデン”として、民間活力を導入しながら県内全域に十ギガビット程度の光ファイバー情報ネットワークを早期に構築し、「いつでも・どこでも・だれもが」の合言葉に共鳴する起業家精神にあふれた人々が移り住める長野県を目指します。あわせて、豊かな農作物と自然環境に恵まれた長野県へと国内外から訪れてくださるお客さまにご満足いただき、リピーターとなっていただく上でも、顧客の目線に立ったサービスの充実に向け、全県的取り組みをいたします。
五直しとは、治水・砂防・治山・土地改良等の公共事業にとどまらず、事業のための事業、あるいは事業が事業であり続けるために、さらには組織や団体の存続のために、といった考えを排し、まさに納税者の目線、地域を担う住民の願いに立ち、より少ない金額でより多くの効果をもたらす望ましき公共事業のあり方を追求していかんとする心意気であります。それは、土木建設業に限らず農林業関係においても、個々の生産者と消費者の視点に立って、的確に執行されている公共事業か否か、見直していく試みでもあります。地すべり等の危険地域に暮らす中山間地の住民を対象に、住居移転を奨励する制度の創設も具体的に検討します。また、今後、維持費用のねん出が深刻な問題となろう下水道、農業集落排水と合併浄化槽のあり方に関しても委員会を早急に立ち上げ、アクションプランとしての抜本的提言を求めてまいります。
まずは「『だれもが参加』しましょう宣言」です。行政への県民参加のあり方を定める仮称としての「長野県市民憲章条例」、県内在住で十八歳以上なら外国籍県民も投票可能な常設型の住民投票条例の制定を目指すとともに、真に成熟した市民社会を形成するべく、NPOや企業市民との協働事業を積極的に進めます。 続いて「『ものづくり産業戦略』宣言」です。極めて自律的な発展を遂げてきた長野県産業の二十一世紀における姿を探る信州ものづくり産業戦略会議の提言を踏まえ、産学官の緊密な連携の下、燃料電池、超微細技術のナノテクノロジー、生物体エネルギーのバイオマス等、環境負荷の低減を実現する、環境立県ナガノならではのビジネスモデルの創出を目指します。 喫緊の課題たる「とことん『行政・財政改革』宣言」についてです。昨年来の県内景気の厳しさを反映し、本年度当初段階で約四百億円の減収を見込んでおりました県税収入は、これまでの状況を踏まえますとさらに減収額が二十億円を超えると見込まれます。文字どおり、本県の財政は未曽有の瀬戸際に立たされているのです。財政再建団体に転落することなく、持続可能な財政運営を図るためには、私をはじめとする県職員全員が文字どおり身を削る覚悟で、聖域なき財政改革へとまい進せねばなりません。従来型の発想による計画や判断をいったん断ち切る決意できたんなき検討を行い、財政改革推進プログラムの策定を急ぎ、果敢に実行へと移さねばなりません。 同時に行政改革も、果断に進めねばなりません。ただしその際、器という行政の新たな形を作ることのみが目的となっては本末転倒なのです。その形の議論よりも前に、今後どういった行政サービスを行っていくのか、またそのサービスを行うに当たって必要なスタッフはどういった位置付けであるべきかという点から検討せねばなりません。いずれにせよ今後、行政・財政改革を行っていく上で、市町村や県民の方々にも数多くの協力を求めねばならぬ場面が、個別具体的に出てまいりましょう。その意味でも、私をも含むすべての県職員は、問題調整型思考を捨て去り、問題解決型志向で立ち向かってまいります。 「『県庁変えます・変わります』宣言」は、県民への奉仕者としての私たちの役目を記したものです。のみならず、公的サービスに対する県民の信頼を高める上でも、長野県公共工事入札等適正化委員会の助言を仰ぎながら、発注・入札制度の抜本的改善による公共事業の透明化と効率化を図ります。 「『集落単位からの活力』を取り戻そう宣言」についてです。長野県という社会の活力の原点は、県内百二十の市町村レベルにとどまらず、それらを構成する集落にこそ存在すると私は考えます。過日、福島県の矢祭町へと訪れたのも、そうした想いからです。 市町村合併の論議は、財政危機を先送りするためであってはなりません。合併とは一線を画して極限までの自助努力を行いながら独自の地域づくりを模索する町村に対して、福島県は支援を表明しています。プラス・マイナスの情報を開示した上で、住民の意向に基づいて自主的な合併を進めていく市町村に対しての相談や支援だけでなく、地勢的にも複雑な事情を有する本県も今後、福島県の取り組みを早急に学ぶ必要があろうと考えます。 「『信州人づくり』宣言」です。長野県経営者協会の安川英昭会長から一昨日、知事直轄の「教育刷新会議」を設置すべき、との提言を受けました。小学校低学年における三十人規模学級の実施にとどまらず、教育現場の質的向上を図るとともに、改革意欲を有する教員が自由かっ達に発言できる職場環境の実現に向けて、全県的取り組みを進めたく思います。あわせて、全国平均よりも高い不登校児童・生徒へのサポートを、NPO等の協力を得ながら積極的に進めます。 次に、「『自律と助け合い』宣言」です。痴ほう性高齢者や障害者のグループホーム、宅幼老所への支援を拡大し、少子・高齢時代の福祉を充実させます。加えて、より確かな医療環境を目指して、医療機関における個人情報の受診者への開示を拡大させるとともに、総合病院の格付け制度を構築します。 最後に「『21世紀の循環型社会』宣言」です。ともすれば環境と経済、環境と産業は水と油の関係であるかのごとく、とらえられがちでした。けれども、私たちが目指すべきヨーロッパ型の社会、北欧型の社会は、そうした二項対立を乗り越えようとしています。名著「沈黙の春」をレイチェル・カーソンが上ししたのは、東京オリンピック開催の二年前に当たる一九六二年です。化学薬品の乱用に警告を発した彼女は、「私たちの住んでいる地球は自分たち人間だけのものではない」「自然の征服―これは、人間が得意になって考え出した勝手な文句に過ぎない」と最終章で述べています。長野県経営者協会等の経済人と一般市民、NPO、信州大学の研究者らが議論を重ね、二酸化炭素等の排出削減をはじめとする数々の提言が記された「地球温暖化対策『長野モデル』」の実現に向け、条例化を図ります。このため、十一月から生活環境部に地球環境室を設置いたします。
地方自治史上、類を見ない不信任案の成立から県知事選の投票に至るまでの過程の中で、県知事としての自らの営為を粛然と省み、反すうし続けた想いを私は今後も常に心に刻み続け、車の両輪たる県議会議員や市町村長の各位と胸襟を開いた対話を行い、県政運営に当たってまいりたく存じます。
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