「田中新県政」

6月県会 知事提案説明の要旨


6月21日(金) 掲載 


【地球温暖化】

 信州・地球温暖化対策研究会から「地球温暖化対策『長野モデル』第一次提言書」をちょうだいしました。県内すべての小中学校、高等学校における十キロワット以上の太陽光発電、ガードレールへの県産材使用、飲料自動販売機設置台数を半減、信号機の電球を発光ダイオードに変更、企業も「削減目標計画策定や温室効果ガス排出量報告・公表制度の確立などにより、産業部門の温室効果ガスの排出量を六%削減」を行う。これら数々の提言は、時計に代表される精密機械で“東洋のスイス”と呼ばれた長野県が、二十一世紀に目指すべきは“日本のスウェーデン”であると示唆しているように思えます。

 日本の背骨に位置し、あまたの水源を擁する本県には、二百二十二万人の向上心にあふれる県民が暮らし、こうした一人ひとりの自律的な努力のたまものとも呼ぶべき豊かな文化と優れた産業が、比類なき自然環境に恵まれた県内各地に確立しています。今後、せき学で知られ、文化勲章の受章者でもある宇沢弘文氏らのご意見も伺いながら、これら長野県の「社会的共通資本」を、より有効に活用し、一人ひとりの県民、一つ一つの地域が、それぞれに自分らしく、地域らしく生きていける社会を再構築していきます。

【景気・雇用】

 産業活性化・雇用創出推進本部を四月に設置いたしました。これまでの対策本部という受身的な形から一歩踏み込んで、推進本部として全庁を挙げて積極的かつ有機的に取り組みを行うものです。

 今回の景気低迷は、単なる景気循環的なものではなく、産業構造的な問題です。これを解決するためには、経済・雇用の当面する緊急的な課題への対応に加えて、中長期的な観点からの新たな取り組みが必要です。すなわち、新たな経済フロンティアを開拓していくためには、民間、大学と行政が一体となって産業構造を転換していくことが不可欠です。長野県には優れた技術力を持つ製造業だけでなく、県土の78%を占める森林を有し、園芸作物を中心に全国有数の農業県としてブランド力を持った農林業、あるいは上高地、軽井沢など優れた観光資源を持つ観光業という大きなコンテンツ(中身)があります。これを真の意味でのコンテンツに変えることが必要です。「優しさ、確かさ、美しさ」をキーワードとして、既存産業のポテンシャル(潜在能力)と福祉・医療、教育、環境等の新たな成長産業分野との連携、融合を進め、新しい産業を育成し、雇用の創出を図ってまいりたいと考えています。

【治水・利水】

 六月七日、県治水・利水ダム等検討委員会から、浅川及び砥川の「総合的な治水・利水対策について」の答申をいただきました。決定過程こそ最大の河川政策であるという考えから、住民参加と情報公開について、最大の努力が図られました。比類なき住民参加と情報公開により、多くの市民が関心を持ち、行方を見守り、あるいは解決点を見いだすべく議論に参加し、治水・利水を確立していく過程は、まさに民主主義のスタンダード(標準)です。

 検討委員会では、ダムの建設に河川改修を組み合わせた案とダムによらない河川改修単独案の二つの対策案が報告された浅川・砥川両部会での議論を含め、多角的な審議、精力的な検討がなされました。これまでの審議の内容及び委員から寄せられた意見を総合して、その多数を優先し、浅川、砥川の総合的治水・利水対策としてダムによらない河川改修単独案及びそれに対応する利水案が答申されました。なお、ダムを支持する意見もかなりあったことが付記されています。

 私は一貫して委員会の議論を尊重しながら見守ってきました。この答申を尊重して、その趣旨を踏まえ浅川、砥川の治水・利水対策を実施していきたいと考えています。しかしながら、そのためには、いくつかの課題を解決しなければなりません。河川整備計画についての流域住民の理解や国の認可、水源の確保を含め水道事業者としての市・町との協議、事業実施に当たっての県財政との整合性についてなどであり、このほかにも多くの課題があります。これら一つ一つに関して、解決への見通しを把握し、県公共事業評価監視委員会にもお諮りした上で最終的な判断を行い、確実な治水・利水対策を実施していきたいと考えています。

【子ども未来センター】

 基本構想では、センターのテーマを「サイエンス」とし、二十一世紀を生きる子どもたちへの願い、メッセージとして主に扱う領域・施設イメージを「いのち」「科学の原理」としました。今年度は、この基本構想を基に、地元の方にもご参加いただいて、新たに設置された実行委員会において、基本計画を策定することとしています。現時点の目標としては、基本計画策定後、施設等の設計を行い、平成十五年度末には着工、平成十八年度の早い時期における開館を目指したく考えています。

【しなの鉄道】

 懸案となっていた社長には、エイチ・アイ・エス(HIS)出身者を充てることとしました。進取の気性に富む斬新な経営感覚でHISは、短期間に運輸旅行業界の雄としての地位を築き上げました。そうした企業で育った人材を登用することは、従来の発想にとらわれず、新しい鉄道運輸会社を構築する上で極めて望ましいことであり、沿線住民のみならず、広く利用を全国に発信していく上でも、今後アイデアを具体的に提示できるものと考えています。新体制の下、経営改革に向けた大胆な取り組みの実践がなされることを期待しています。

【県政改革ビジョン】

 四月以降、私は、県政が抱えている課題や取り組むべき施策などについて、各部局長がどのような心構えで、何を目標に掲げ、その目標達成に向けて具体的に何をするのかについて議論を交わしました。そして、「協約」という形で県民の皆さんに明らかにしました。その進ちょく状況、達成状況につきましても明示することとしており、県政の「執行役員」たる部局長と共に、県政改革の共同作業を進めていきます。

 行政改革に関しては、四月に行政改革推進室を新設し、県政をとりまく環境の変化に効率的かつ迅速に対応できる行政システムへの大胆なる改革に向けて本格的に始動しています。本庁部局のスリム化と再編、現地機関の総合化など組織の再構築や、県が出資または関与する五十七の外郭団体についての統廃合を含む抜本的な見直し、あるいは、市町村や民間等との役割分担の見直しなどの項目について、来年秋の新たな行政改革大綱策定に向け鋭意取り組んでいきます。

 財政改革に関しては、これまでの財政構造を改革し、財政の健全化を図るため、今後の中期的な財政運営の指針となる財政改革基本方針を先般策定しました。この基本方針を基に、予算編成会議を改組、設置した財政会議を中心に検討を進め、秋に向けてそれぞれの取り組みごとに収支改善目標額を定めた「財政改革推進プログラム」を策定していきます。

【財政見通し】

 本年度の財政見通しについては、県内景気の厳しさを反映して、県税で約四百億円の減収が見込まれ、地方交付税についても国の減額を受け、二年連続のマイナスが予想されるなど、主要一般財源を確保することが大変厳しい状況です。歳出面では、公債費や介護保険関係費の増加が見込まれ、昨年度をさらに上回る厳しい財政運営を強いられる見込みです。予算の執行等におきましても、職員一人ひとりがこのような危機的な財政状況を真剣に受け止め、徹底した経費の削減と効率的な執行に最大限努めていきます。またそうした中にあっても、地域経済の活性化や雇用の創出といった喫緊の課題には機動的に取り組んでいきたいと考えています。




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