12月県会 知事提案説明の要旨
12月5日(金)
掲載
十二月二日、県総合計画審議会から「未来への提言―コモンズからはじまる、長野県ルネッサンス」と題する中間答申をいただきました。提言は、物質的な欲求を満たすことを優先してきた二十世紀型工業社会は行き詰まりを見せているとした上で、原因は大気、水、森林といった自然環境、社会基盤、さらには教育や医療といった制度、これら「社会的共通資本」を適切に管理、運営をしてこなかったことにあると指摘しています。管理、運営の主体として中心に置かれるべきは市民一人ひとりであり、人々が暮らす地域であり、地域や人々のきずなで結ばれた「コモンズ」であると提唱します。 提言いただいた「社会的共通資本」と「コモンズ」の考え方は、県が未来に向けて歩み始めるための理念的基礎になるものと考えています。国が画一的に決めた制度や政策を全国に広めていく中央集権的な流れは、各地域の自然、文化、伝統的な英知や技術といった特有の価値をややもすれば軽んじ、損なってきました。「コモンズからはじまる、長野県ルネッサンス」とは、地域に軸足を置いた「コモンズ」を中心とした地方主権、地域からの政策の流れに変え、地域の再生を図るものであり、信頼で結ばれた自律的な人々の活動により、社会を創造していくことであります。私をはじめとする県職員一人ひとりは、この提言を具現化すべく、勤勉で自律的な二百二十万県民とともに全国の自治体に先駆け、「信州革命」を進めていきます。 行政システム改革について申し上げます。職員の意識と行動の変革こそが、形だけに終わらせず、真に実効あるものとするために欠くことのできないものといえましょう。今、まさに試されているのは、公僕という個人の集合体たる県庁自身の自己変革能力です。真の行政システム改革を実現するため、全職員が改革の当事者として取り組むべき事項を、行政システム改革の「骨格方針」としてとりまとめました。 また、人事、給与、研修制度改革、予算・事務事業改革、組織改革など、テーマごとに改革を速やかに具体化、実現するための原動力となる部局横断的な「改革チーム」を編成しました。職員の伸びやかな改革努力を妨げるさまざまな「きまり」を全面的に見直し、職員が県民のニーズに敏感に反応し、自ら考え、工夫する組織風土をつくり出していきます。 職員の意欲、創意工夫を生かす取り組みの一つとして、平成十六年度予算編成に当たり、県民に日常的に接している現地機関や、担当業務を越えて自由な発想力を有する意欲ある職員が事業を提案することができる「新規事業等直接提案」を新たに実施しました。部局の縦割り、官民あるいは地域の垣根を越えた総合的、横断的な事業など、ますます多様化する県民ニーズにきめ細やかに対応した、先駆的な事業を構築していきます。 新たな人事評価システムの創造と研修体系の見直しについて申し上げます。職員には、縦割り、前例踏襲といった意識を排し、自律した個人として、自ら能力を切り開いていくことが強く求められており、「変革の時代を担う職員活性化プログラム構築事業」に着手しました。新たな人事・研修制度の構築は本年度に制度設計を行い、平成十六年度に制度を試行し、平成十七年度からの運用を目指していきます。 県が出資または関与する五十七の外郭団体の見直しについては、県出資等外郭団体見直し専門委員会において原点からの議論が重ねられ、先般、十三団体の廃止を含む大幅な見直しの報告書素案が示されました。委員会では、報告書素案に対する県民からの意見を踏まえ、年内にも最終報告書をとりまとめ、行政機構審議会を経て答申される予定となっています。実施可能な改革は、平成十六年度当初予算に盛り込んでいきます。 本年は、県と河北省が友好提携を締結して二十周年に当たり、これを記念し、十月に中国を訪問してきました。本県と河北省はさまざまな共通点を持っています。北京、天津という大都市に近接し、その消費に十分な農産物を供給する河北省と、同じように東京、名古屋という大都市に近接し、素晴らしい食材やきれいな水、空気を供給する長野県。こうした共通点を踏まえ、過去の歴史を正しく見つめ、将来を見据えて、県と河北省の緊密な協力関係を築いていきたいと考えています。 県は、旧来の景気浮揚策ではない、新しい産業構造の構築に取り組んでいます。産業構造の転換には、新たな創業や厳しい経営環境から自律的に新たな道を切り拓(ひら)くための経営革新が不可欠です。自律に向けた努力を支援してきた一例として、空き店舗を活用し、創業に向けた女性専用のチャレンジショップを開設したところ、十軒余りの事業者が創業に至りました。地域の企業経営者が、創業を目指す方や新事業分野に取り組む中小企業者を支援する地域ファンドを設立する動きもみられます。引き続き、地域の意欲と熱意のある方々の取り組みを支援していきます。 先般、県発注事業に関して県内の測量・設計業務を営む四十五社が、公正取引委員会から独占禁止法違反により排除勧告を受けました。極めて遺憾であり、残念です。全職員が、公共事業の真の発注者は納税者たる県民であると深く心に刻み、県民の信頼を回復すべく厳正な入札業務執行に努めるよう、私をはじめとして職員への指導、意識改革を徹底するとともに、引き続き入札制度改革に取り組んでいきます。
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