田中知事の提案説明(要旨)
6月18日(金)
掲載
地域における「コモンズ」の創生を支援し、共に住民の目線に立った県政改革を進める観点から、昨年度の百三十八名を上回る百八十一名の意欲ある職員を、百八の市町村へと派遣いたしました。派遣職員それぞれが地域社会の一員として、国―県―市町村―集落と上意下達型に陥りがちだった従来のピラミッド構造を超え、一人ひとりが対等な構成員として、知恵を出し合い、行動し合う、人の相貌(かお)が見え、体温が感じられる自治の単位「コモンズ」を活性化するべく、日夜、取り組んでおります。 ある意味、「コモンズ」は「集落」と同義語であります。しかしながら、集落という単語を用いた場合には、前述のごとく、上意下達型の従来社会を思い浮かべ、一人ひとりの構成員が知らず知らずのうちに、発言や行動を差し控える可能性を否定できません。他方、「優しさ、確かさ、美しさ」を大切にし、「農林業、製造業、観光業」と「福祉・医療、教育、環境」がスリー・バイ・スリーの精神で連携し合い、より日本一美しい信州・長野県を実現していく上での基本単位が、「コモンズ」なのです。 任期付部課長級職員の活躍も県政改革に寄与するところ大であります。 物の本には、以下の説明が載っています。いわく、透明な水槽の中で自由に泳ぎ回る一匹のドジョウがいます。ある日、透明のアクリル板で水槽を真ん中で仕切ります。当初、ドジョウはその仕切りに何度も頭をぶつけます。しかし、数日を経て「真ん中よりも向こうへは行かれない」と学習し、半分のスペースで頭をぶつけずに泳ぎ回るようになります。しばらくして、その仕切りを外しても、その半分のスペースの範囲で泳ぎ回り、そこから先へは決して行かないのです。では、そのドジョウに、再び水槽全体を泳ぎ回れるのだと自覚させるには、どうしたら良いでしょうか。 もう一匹新しいドジョウを水槽に入れる。これが、この場合の答えです。実際、新しいドジョウが水槽の中を自由自在に泳ぎ回るのを見て、以前からのドジョウも当初の自分に戻るのです。 多くの県職員は、県民に尽くす自分でありたいと考えて県庁の門戸をたたいたはずです。しかしながら、霞が関をはじめとして全国津々浦々、前例踏襲のお上感覚に染まりきった硬直した行政組織の一員として過ごす中で、いつしか当初の熱意を忘れかけて、否、忘れるように組織や上司から強いられていたのではないでしょうか。任期付部課長級職員が活躍することで、長年にわたって本県を愛し、本県の実情に精通する職員が刺激を受け、彼らの優れた潜在能力が引き出されることを願っています。 今後の中期的な県財政の状況を試算しますと、現在の財政改革推進プログラムに基づいて事務事業の見直しや投資的経費の削減、人件費の抑制に取り組んだとしても、平成十七年度以降も大幅な財政赤字が発生することが見込まれ、県財政は財政再建団体への転落も想定される危機的な状況に再び置かれています。 今後の国における三位一体の改革の動向を踏まえながら、本年秋を目途に財政改革推進プログラムを改定し、既存施策の枠組みそのものにまで踏み込んだ歳入・歳出の抜本的構造改革を行うことにより財政再建団体への転落を回避して、真に県民が求める施策を展開できる持続可能な財政構造を構築してまいります。 予算の執行につきましても、職員一人ひとりがこのような危機的な財政状況を真剣に受け止め、創意工夫を凝らして限られた財源を最大限に生かすよう努めてまいります。そうした中にあっても、県民の皆さんの要望に応えるべく、真に必要な施策を着実に推進してまいりたいと考えております。歳出の三割をも占める人件費こそは県政最大の事業費である、との認識の下にスタートしたゼロ予算事業も二年目を迎えました。私をはじめとする二万九千人の県職員は、県民のための、また信州・長野県を愛して訪れてくださる方々のためのパブリック・サーヴァント(公僕)として、真の幸せを充実させるべく奮励努力いたします。
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