「田中県政」

田中知事の県会提案説明(要旨)


9月23日(木) 掲載 


 「夜明け前」で知られる作家、島崎藤村の生誕地にして、長野県の西の玄関口に当たる中山道の馬籠宿を擁する木曽郡山口村には、固有の歴史と文化が息づいており、それは宗派を超えた存在とも言える北の善光寺とともに、「信州人」のアイデンティティー(自己同一性)、精神文化の礎とも呼ぶべき地です。

 かつて旧神坂村の越県合併論議が沸きあがった際も、こうした礎たる地を守るべしとの県民の声と、県議会における多くの皆様の深く熱く激しい議論の末、時の内閣総理大臣裁定で分村が行われ、馬籠を含む大半の地は長野県に留まる形となりました。

 星霜を経て今年四月、山口村と岐阜県中津川市から総務大臣あての合併申請書が私の下に提出され、岐阜県との間で合併に向けた事務的な準備を進めてきたところです。しかし、これは一連の「平成の大合併」において全国で唯一、都道府県境を越えての合併案件です。広く県民各層及び県議会の皆様の議論が必要と私は考え、今定例会での提案を見送らせていただく決断をしました。

 無論、広報不足という私たちの至らなさを心からおわびした上で、二百二十万県民の皆さんにもう一度、「信州人」としてのアイデンティティーにかかわる本質論として、山口村の「越県合併」問題をご議論いただきたく思います。その上で、県民一万人規模の意向調査を行う所存です。

 財政改革推進プログラムの見直しに当たっては、県民サービスの水準を向上させるべく、事業内容を再構築し、躍動感にあふれ、未来に希望が持てる施策を新たに展開することとしました。

 それらはいずれも「未来への提言―コモンズからはじまる、信州ルネッサンス革命―」の理念に基づき、3×3(スリー・バイ・スリー)と私たちが呼ぶ、二十一世紀型の新しい雇用を創出する福祉・医療、教育、環境の経世済民的分野へと予算を傾注投資し、これまで県内の経済をけん引してきた製造業、農林業、観光業の分野を結び付けながら、集落や地域を元気付ける施策です。

 県の組織の再編については、まず現地機関の組織について検討し、次に本庁の組織について考えていくことといたしました。現地機関の検討に当たっては、職員や市町村からのアイデアを募り、地方事務所長が中心となってそれぞれの地域の特性を踏まえた現地機関の案を作成いたします。

 県民や市町村のご理解が必要な大規模な再編については、二〇〇五(平成十七)年度中に条例改正等を行いますが、検討にいたずらに時間をかけるのでなく、喫緊の課題への対応や県民益の観点から早急に実施すべき組織の整備は、迅速に実施してまいります。

 外郭団体の見直しにつきましては、六月に長野県出資等外郭団体「改革基本方針」を策定し、公表しました。この基本方針で、県の行財政運営と密接な関係を有する五十四の外郭団体について、見直しの基本姿勢をお示ししたところです。

 このうち、県土地開発公社や県道路公社など、財務上の問題やいわゆる「プロパー」職員の方々の雇用等の課題を有する七団体については、県財政への影響や再就職先の確保などに留意しながら県民益を極大化することができるよう、さらに詳細な改革のスケジュールとその具体策について検討を重ねてきましたが、このたび「改革実施プラン」として取りまとめ、先日公表しました。今後、各団体及びそこで働く職員の皆様のご協力をいただき、速やかに「改革実施プラン」を実行に移したいと存じます。

 南安曇郡安曇村の白骨温泉に端を発した「入浴剤問題」も、信州を愛し訪れてくださる年間一億人近い方々との信頼関係を失いかねない極めて深刻な事態であるとの認識のもと、七月に「信州の温泉品質問題対策本部」を設置しました。二千余個所の温泉施設への訪問調査に加えて、八千余個所に及ぶすべての入浴施設に関し、入浴剤使用の有無、掛け流しか循環式か、加温や加水の有無、塩素などの殺菌の状況を調査し、その詳細をホームページで公表しました。「安心、安全、正直」な信州の温泉づくりのため、県温泉協会と連携して策定中の長野県独自の温泉表示制度と、信州の温泉の魅力を紹介するパンフレットを作製する経費を計上し、信州の温泉への信頼回復を強力に支援します。

 企業局松塩水道用水管理事務所本山浄水場で、水道用水の浄化処理に伴い発生した汚泥を奈良井川へ排出していた問題は、安全な上水道を安定供給することが使命である企業局に留まらず、県行政全体が深く頭を垂れ、おわびすべき問題です。

 中国産春雨等からの過酸化ベンゾイル誤検出、誤公表では、国が示した検査方法を現場の判断で一部変更して実施し、他の妨害物質を誤って過酸化ベンゾイルと解釈し、公表しました。検査方法と検査体制などを抜本的に見直し、精度の向上、データのチェック体制の改善に一層努力します。

 最後に、七十年もの歴史を有し、戦前・戦中・戦後と日本経済を支える人々に勇気と希望を与えてきたプロ野球への新規参入を通じて、日本という社会に元気を与えようと現在、複数の企業経営者が名乗りを上げています。長野市には、全世界に深い感動を与えたオリンピックスタジアムが存在します。長野市長にもお願いし、県民の皆さんにもお願いし、次代を担う子供たちに夢を提供する、元気な長野の実現に向け、観光立県の知事として全力を尽くします。




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