「田中県政」

2月県会 知事提案説明の要旨


2月23日(木) 掲載 


田中知事が提案説明を行った2月定例県会初日の本会議


 もはや私たちの日本は高齢化社会、少子化社会の段階を超え、文字通り、高齢社会、少子社会の真っただ中に突入しています。わけても、平均寿命が日本一の信州・長野県は、その最前線に位置しているのです。220万県民のための総合愛情産業に従事する特別職も一般職も、常勤、非常勤を問わず、その厳然たる事実を深く認識した上で的確に迅速に対処していかねばなりません。

 私が知事に就任した平成12(2000)年、県の財政状況は県債残高1兆6401億円、起債制限比率は全国ワースト2位でした。財政改革推進プログラムを策定し、比類なき財政改革がスタートしました。県民各位のご理解とご協力の下、財政の健全化に向け果敢に取り組んできました。

 それでもなお、起債制限比率の数値は依然としてワースト2位です。それはすなわち、過去における財政運営が、いかにバブル状態であったかの証左でもあります。さまざまな理由はあったにせよ、過去における県の予算構造、あるいは行政執行が結果として無定見であったことのつけを、今後も県民のご理解とご協力の下に、引き続き、軽減・解消していかねばならぬ、その途上にあるということです。

 国の税制改正に伴い、いわゆる恒久的減税の縮減・廃止など、実質的増税の動きがあります。であればこそ、現下の厳しい財政状況の中においても、自律的に努力している皆さまを応援し、より多くの皆さまに希望を見いだしていただくことが肝要だと考えました。そのために、従来の「事業」という発想にとどまらず、「減税」という新たな手法を加えることにより、県民の皆さまの実質的な負担を減らす独自の取り組みを行います。

 県内で新たに創業をする方々、あるいは環境に配慮する方々、安全・安心・安定を推進する県の認定を受ける方々、さらには、障害者等が地域の中で暮らしていけるための応援、とりわけ母子家庭、あるいは障害のある方、こうした方々の雇用を確保促進していくための減税です。想定で5億円規模の減税を予定しています。

 今後さらに検討を深め、ガソリン価格の適正な価格表示を行う事業者や24時間営業を短縮するなどの省エネを進める事業者、ご高齢の方にも配慮し、暖かい洋式便座にしている飲食店や土産品店、あるいは農薬を今までの半分以下に抑える「レスザン50」を導入する農家、こうした方々の取り組みを報奨すべく、3億円規模の減税や奨励金を鋭意検討します。

 県地球温暖化対策条例案は、「24時間営業者との営業時間等に関する協定の締結」や「事業者に対する従業員のマイカー通勤削減の努力義務」など、県独自の項目が盛り込まれています。県の地球温暖化対策が全国に後れを取らぬためにも、地球温暖化防止を未来の子どもたちへの贈り物とするためにも、本定例会での可決を心から願います。

 豊かな自然に恵まれた信州・長野県は、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄の経済社会から脱却を目指しています。そのためには廃棄物の発生を抑制するとともに資源化を推進し、県民の皆さまとの協働による施策を展開することが不可欠です。本定例会で県廃棄物条例案を提案する運びとなりました。

 来年度予算編成の施策方針は、少子高齢化社会を支える総合愛情産業を目指し、大きな方向性として新たに二つのベクトルを定めました。第一として、経済、福祉、医療などの社会システムを地域中心に変えていこうとするベクトル、第二として、付加価値の高い産業を地域から育てていこうとするベクトルです。

 少子社会における子育て世代の医療費負担を軽減するため、福祉医療費給付事業の乳幼児医療費に関し、外来診療の補助対象年齢を4歳未満から引き上げ、入通院とも就学前まで補助対象とするとともに、内なる格差を生じていた所得制限を廃止し、すべての保護者と乳幼児を対象とします。

 他方、高齢社会における大きな課題は高齢者の孤独への対策です。先ほども申し上げたように、(新潟県)中越地震やこのたびの豪雪災害の際、被災地の高齢者が心待ちにしていたものは自分の話に耳を傾けてくれる話し相手の訪問でした。在宅の高齢者のお話の聴き役となる「心友(しんゆう)・傾聴ボランティア」を育成し、悩みや相談をお聴きできる体制を築いていきます。

 およそ20年ぶりの大規模な組織再編は、市町村長や県民の皆さまからはご賛同やご期待をお寄せいただいたものの、県議会の皆さまからは昨年9月定例会に続いて(12月県会で)再び可否のご判断をいただけませんでした。部局の見直し、地域本部や福祉健康事務所の設置などを今年4月に実施することは見送らざるを得ません。

 改めて県民の皆さまの視点に立ったとき、人口減少や少子高齢などを背景として多様化する地域の課題解決に向け、より良いサービスを行わせていただかねばと考え、新年度に向けて「縦割り型組織の弊害の除去」「地域主権」を目指して可能な限りの組織改正を行うことと致しました。今回の改正は、総合愛情産業、総合奉仕産業として、私を初め職員一人一人が県民の皆さまに、より的確で、迅速、きめ細かなサービスをお届けし、ご満足をいただくために必要な改正です。

 特別職職員等の給与に関する条例改正案に関してです。県特別職報酬等審議会は、各特別職の給与報酬はその役割、責任、成果に応じたものであることなどを踏まえながら、各特別職間の均衡の取れた給与・報酬体系の構築を試み、各特別職に対する公費負担の実態を総合的、包括的にとらえることが極めて重要であるとの結論に至り、その具体的方法として(県議の報酬に政務調査費を含める)「実質年間受給額」方式が提案されたところです。

 長野県調査委員会が昨年11月に公表した長野冬季五輪招致委員会の会計帳簿処分問題についての報告書は、約9000万円の使途不明金や国際オリンピック委員会(IOC)委員への過剰接待を明らかにしました。

 調査委員会からの面談要請に対し、(招致委会長を務めた)吉村午良前知事は書面で拒否の意思表示を行いました。語りたくない事情があられるのかも知れません。このさらなる解明こそは、金メダルだけでも5個を日本にもたらした長野冬季五輪の真の名誉回復につながります。であればこそ、この件に関し、今こそ地方自治法百条に基づく調査機関を長野県議会は設けるべきではないか、と私は考えます。

 「結局は政争の具ではないか」と新聞紙上でも報じられ、仮に事実に基づかない「偽証」認定を基に刑事告発を行えば逆に、その行為自体が刑法に言うところの「虚偽告訴罪」となる可能性すら大、と語られている現在の百条委員会の名誉挽回(ばんかい)のためにも。




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