村井知事所信表明の要旨 「協力関係の構築」強調
9月29日(金)
掲載
【県と市町村】 現在、わが国は、人口の減少というかつて経験したことのない状況に直面しております。2005年の人口動態統計によれば、出生数が死亡数を下回り、わが国の人口が減少局面に入りつつあることが裏付けられました。 長野県は、全国より8年早く高齢化率が20%に達するなど、全国に先駆けて高齢化の進展を経験してきました。今後さらに人口の減少と少子高齢化が進むと予測されており、厳しい状況の下で、県民の英知を結集して、地域経済の成長を実現していかなければなりません。 本県は地域ごとに豊かな特色を持ち、個性あふれる風土、文化、産業を誇ってまいりました。こうした特色を生かし、活力ある地域づくりに取り組むとともに、地域のニーズに立脚した行政サービスを提供するためには、住民に最も近い基礎的な自治体である市町村が主役となることが必要です。このため、私は「市町村が主役の輝く長野県づくり」ということを申し上げてきました。 このことは、市町村に、自らの責任で主体的に施策を立案し、実施していくという、より厳しい責任を求めることでもあります。それぞれの市町村が、自立できる体制、基盤を有するものでなければなりません。 市町村に県の施策、知事の理念を押し付けるのではなく、地域ごとの自主的な取り組みに対して、たゆまぬサポートを続けていくこと。地域が求めるものを実現していくために、その地域の人々とともに汗を流し、努力すること。これこそ、これからの県政のあるべき姿と考えております。 新たな県政を進めるためには、まず、さまざまな主体との協力関係をあらためて構築する必要があります。これまで、国、市町村、県議会、県内のさまざまな団体との間にあつれきを生じ、無用の混乱を生じさせてきたことは否めない事実です。今議会で権限の集中についてご批判の多かった経営戦略局を廃止することといたしました。県民からも分かりやすい簡素な組織への改正を進め、職員との対話などを通じて、自由闊達(かったつ)な議論ができる風通しの良い組織づくり、すべての職員が全力で働ける体制づくりも進めてまいります。 県政における当面の主な課題となる事項について申し上げます。 まず、県内81市町村の特色ある地域づくりへの支援についてです。市町村の機能を強化していくため、市町村や広域連合のご意見、ご要望を踏まえ、権限移譲を進めてまいります。地域住民の主体的な選択による市町村合併に対しては、円滑な実施に向けた支援体制の整備を図ります。県と市町村との良好なパートナーシップを構築するため、定期的な意見交換を行う会議「ボイス81」を設け、広域圏単位や政策課題ごとに市町村と実りある対話を進めてまいります。 【福祉サービス】 福祉については、すべての人々が地域で支え合う社会づくりを目指して、福祉サービスの実施主体である市町村と協力しながら、充実に力を注いでまいります。障害者自立支援法の施行に伴う新しい仕組みの下での適切なサービスの確保や、年々増加する児童虐待への対応、ひとり親家庭の自立促進などに取り組みます。 保健・医療では、医師や医療機関の偏在などによる地域ごとの医療サービスの格差を是正し、地域医療を担う医師等の人材確保や、個々の医療機関の役割と機能の分担を明確化した医療提供体制の整備、病院ごとの特色を生かした県立病院の充実などを実施してまいります。 安心して子どもを産み、育てることのできる環境づくりのため、産出産に対するきめ細やかな支援を行うとともに、多様な保育サービスや児童館の整備、児童クラブの運営等に対する支援など、実効ある少子化対策を進めてまいります。 【高校再編】 これからの長野県を支える人材づくりを進めるため、教育委員会と連携して、信州教育の伝統を受け継ぐ意欲ある学びの場の形成に努め、教育の再生に取り組んでまいります。中学卒業者数が減少する中で、教育の活力を低下させない環境を維持するため、県立高等学校の再編整備を進めていくことは不可欠です。しかし、そのためには、地域の合意が得られていることや、学校現場での準備が十分に行われることが最低限の条件であります。実施が決定した対象校については、教育や新入生の受入れに支障が生じないよう、対応に万全を期してまいります。 【社会基盤】 県土の大部分が急峻(きゅうしゅん)な山地に占められる本県では、災害による被害を最小限にとどめること、減災のための県土のメンテナンスが不可欠であり、河川改修や砂防、治山事業などを推進してまいります。治水・利水対策では、まず住民の皆さまの信頼回復に努め、専門的な識見を有する方々のご意見を十分に聴取し、科学的なデータに基づいた実現性のある対策を検討してまいります。 環境保全では、廃棄物の発生抑制に加え、再利用、再資源化を促進し、資源循環型の社会づくりを進めてまいります。継続審査となっておりました「廃棄物の発生抑制等による良好な環境の確保に関する条例案」は取り下げ、今後あらためて関係各位との協議を行います。県内で発生した産業廃棄物の適正な処理を確保するため、民間を含めた産業廃棄物処理施設の整備促進に向けた検討を進めてまいります。 【経済再生】 国際競争の激化の中で強い長野県経済を構築するためには、既存企業の経営基盤を充実・強化するとともに、成長が期待される産業の集積を図らなければなりません。有識者との懇談会を設置し、経済再生のための戦略を示すプランの策定を進めてまいります。県内への企業誘致、設備投資や創業への支援、産・学・官の連携による研究開発の強化、確かな技術力を有する人材の育成、中心市街地の活性化などを推進することにより、活力に満ちた豊かな長野県経済を創(つく)り上げ、県内全域での雇用の拡大を図ってまいります。 観光については、海外からも多くの人々が訪れる地域づくりを目指して、特色ある観光地づくりの支援等を進めてまいります。農業では、原産地呼称管理制度などによる農産物のブランド化など付加価値の高い農業経営を支援し、地域の特色を生かした農業振興に努めてまいります。森林を守り育てるため、民有林の間伐、森林路網の整備のほか、信州の木の利用促進、地域の特色ある森林関連産業の支援などを推進してまいります。 財政の健全化については、本県は県債の償還に要する公債費がいまだに年間1500億円を超える水準にあり、地方公共団体の財政状況を示す新しい指標である実質公債費比率は20・1%と全国の都道府県で最も高い水準となっております。県債は、将来に残る県民の資産形成のための費用を世代を超えて負担していただくためのものであり、社会基盤整備のための重要な財源でありますが、後世代の負担が過大にならないよう、必要性を精査するとともにその適正な管理に努め、残高の縮減を図ってまいります。 経済の再生なくして真の財政健全化はあり得ません。産業活性化や社会基盤整備に取り組み、長野県の経済が本来有する活力を取り戻すことにより、県税収入の確保を図ることが欠かせません。本年度、行政改革、財政改革を一体的に推進するためのプランを策定し、真に必要な事業分野への重点的な投資を進め、将来にわたり安定的な財政運営が可能となるよう検討を進めてまいります。 【方向性】 県の進むべき方向性を明らかにしておくことは、透明性の高い県政のために不可欠です。このため、分野ごとに具体的な数値目標を定め、施策の概要を明らかにした輝く明日の長野県づくりのための中期総合計画の策定に向けて検討を進めてまいります。 開かれた透明性の高い県政を実現し、県の組織、職員を本当の意味での地域、県民への奉仕者としていくことこそが真の県政改革であると考えます。明るく前向きな長野県を創造していくため真の県政改革を推進してまいります。
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