TOP2017年09月松本城の技を熊本城に 復旧支援で松本市教委職員派遣
市考古博物館のスタッフと出土品を整理する原田さん(右)=28日

 昨年4月の熊本地震で壊れた熊本城(熊本市)の復旧を支援するため、松本市教委文化財課主事の原田健司さん(34)が10月から半年間、熊本市熊本城調査研究センターに派遣される。松本城の石垣の積み直しに携わった経験を生かし、熊本城でも崩れ落ちた石垣の修復を手伝う。松本城が被災した場合の備えも学んで持ち帰り、「熊本と長野の双方の役に立ちたい」と意欲を見せている。

 熊本県で最大震度7を観測した地震で、熊本城は石垣があちこちで崩れ、天守閣にも大きな被害が出た。同センターによると、散乱した石垣を集める作業は進みつつあるものの、城全体の復旧は2037年ごろまでかかる見込みという。

 文化庁は昨夏、専門家の派遣を全国の自治体に要請。センターには既に滋賀県と仙台市から2人が現地入りし、10月からは原田さんのほか、香川県からも1人派遣されるという。センターの網田龍生副所長は「人手が圧倒的に足りない。技術者の応援は本当にありがたい」と話す。

 原田さんは山梨県甲斐市出身。英国のサウサンプトン大考古学部を卒業後、フランスのボルドー大大学院でも1年間学んだ。08年に松本市考古博物館に赴任。それまでは旧石器時代のアフリカ大陸を専門に研究していたため、日本の中・近世史を猛勉強してきたという。

 11年には松本城二の丸御殿跡西側の石垣の整備事業に従事。当時、石垣は大きく成長した木の根の影響で崩れかけていた。積み直すために、石垣の内側に数多く詰められた「裏込め石」がどの程度あるのか一つ一つ調べるなど綿密な調査を実施した。「『国宝』の修理に携わる誇りと緊張感があった」と振り返る。

 熊本城には観光で足を運んだことがあり、地震による破損を伝えるニュースに胸を痛めていた。「半年間と短いが、少しでも再建が進むよう頑張りたい」と原田さん。被災現場で実体験できることをしっかり吸収し、「ゆくゆくは松本城の災害対応にも役立てたい」と話している。

2017年9月29日掲載