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6月14日(金)


今日の視角 国立大法人化という詐術


 大学は何のためにあるのか。

 国際化がさらに進むなか、競争に勝つため、技術革新の中心でなければならない、という主張がある。否、それならば技術研究所を造ればよい。

 医師、法律家、技術者などの専門家を効率よく育成するためにある、という主張がある。否、それならば高等専門学校の方が効率的であろう。

 工業社会から情報社会へ移行した今、大衆の高等教育への欲求に応えるためにある、という主張がある。それでは高等教育とは何か。すでに知識として整理されたことを上手に伝えることが高等教育なのか。

 大学は上記三つの機能を併せ持つかもしれないが、それを超えた目的がある。真理の追究こそが近現代の大学の目的である。高等教育は、真理の追究の過程に触れることによって成り立つ。そして真理の追究のひとつに、社会の病理を研究し、虚偽を批判する仕事がある。これは近現代の大学が持つ最も重要な機能である。政治や経済や教育が、時の政治権力によって誤った一方向に流れるとき、その歪みを映す鏡の役割が大学に求められている。

 ここ数年にわたって文部省より提案され、今年三月、文部科学省の調査検討会議によってまとめられた国立大学の独立行政法人化案は、近年の言葉の詐術の最たるものである。例によって国際化、競争力、規制緩和、効率、自由、独立といった流行語で煽りながら、あたかも各国立大学が文部科学省の規制から自由になり、特色ある大学に変わっていくかのように言われている。

 だが本当の姿は、大学の運営を学長、副学長や学部長によるトップダウンの企業経営型に変え、各大学の中期目標さえも文部科学相が定め、実績の評価も文科省の評価委員会で行うものである。独立と正反対のもの、目標の指示、計画の認可、予算と直結する評価によって、文科省に従順な学長や少数の大学管理者を選ばせ、管理を容易にしようとしているだけである。結局、日本社会に大学という制度は根付かなかったのか。

(野田 正彰)



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