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アフリカ会議 日本が培った支援こそ

 ケニアで開かれたアフリカ開発会議(TICAD)は、今後の支援の方向性を示す「ナイロビ宣言」を採択して閉幕した。

 日本政府の主導で1993年から始まり、今回で6回目となる。これまでは日本で開かれてきたが、初めてアフリカでの開催となった。

 中国がアフリカへの進出を強めている。現地開催は張り合う姿勢を示したのだろう。宣言にも中国を念頭に、国際法に基づく海洋秩序の維持を盛り込んだ。

 会議は本来、アフリカが抱える問題の解決のために、何をなすべきかを話し合う場だ。貧困や頻発するテロ、感染症対策など、課題は山積している。

 宣言はそうした問題にも触れているが、中国への対抗心が目立つ結果となった。日中のせめぎ合いがアフリカ大陸で激しくなっていけば、肝心な支援がおろそかになりかねない。日本政府には冷静な対応を求める。

 安倍首相はアフリカの各国首脳らを前にした基調演説で、3年間で官民合わせて3兆円規模の投資を約束した。同時に「アジアとアフリカをつなぐのは海の道だ。日本は力や威圧とは無縁で、法の支配、市場経済を重んじる場に育てる」とアピール。中国をけん制する言葉をちりばめた。

 太平洋からインド洋にかけての海洋安全保障とアフリカの発展を重視する新たな外交戦略を進める意向のようだ。

 また、日本が目指している国連安全保障理事会の常任理事国入りに向け、「安保理の改革こそは、日本とアフリカに共通の目標」とも訴えている。

 現実は厳しい。日本と中国の対アフリカ貿易額は、2000年当時は1兆2千億円ほどで、ほぼ同額だった。その後、中国は資金力を背景に援助を強化、貿易額も急拡大させた。14年には日本の約8倍に達した、といわれる。

 この結果、アフリカには中国びいきの国が少なくない。ナイロビ宣言の事前交渉では安保理改革への言及を巡り、一部の国から異論が出たとされる。「パートナー」をしたたかに選んでいると考えた方がよさそうだ。

 豊富な資源、有望な市場、国連改革の大票田…。そんな面だけからアフリカをみるべきではない。まず、教育や貧困の改善、感染症対策など、庶民が抱える深刻な問題の解決に尽力するべきだ。人道や民生支援など培ってきた実績をばねに、日本独自の方法で存在感を発揮してほしい。

(8月30日)

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