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安保をただす 駆け付け警護 派遣の是非から議論を

 安全保障関連法は国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊の「駆け付け警護」を可能にした。

 南スーダンでの実施に向けた動きが本格化している。安保法は、PKOの新任務について十分に掘り下げられないまま成立した。南スーダンに自衛隊の派遣を続けられる状況か根本的な疑問もある。実施ありきで進めてはならない。

 駆け付け警護は、武装集団に襲われた国連職員や他国部隊を武器を使って救出する任務だ。これまでは、武装集団が「国や国に準ずる組織」に当たる場合、海外での武力行使につながる恐れがあるため認めてこなかった。

 南スーダンPKOに11月から派遣予定の陸上自衛隊第5普通科連隊を中心とする部隊が先週、派遣準備訓練を始めた。関係法令など基礎知識を習得した上で、駆け付け警護などの実動訓練を9月中旬以降にスタートする。

 防衛省は駆け付け警護を実施する場合、宿営地のある首都ジュバを含む南部の州に限定する方向で最終調整しているという。北部地域では政府軍と反政府勢力との戦闘が多発してきた事情がある。現地の治安情勢は厳しい。

 活動地域を南部に限定しても安全を確保できるとは限らない。7月にジュバで戦闘があり、270人以上が死亡した。陸自も宿営地外の活動を一時中止している。

 国連安全保障理事会は今月、治安回復に向け、周辺国から約4千人の増派を決議した。

 日本はPKOに参加する際の条件として、紛争当事者間の停戦合意などの5原則を定める。政府は5原則を満たしているとするものの、本当にそうか。現地の実情を詳しく説明するべきだ。

 安保法では自衛隊の武器使用基準が緩和された。これまでの正当防衛・緊急避難に加え、任務遂行を妨害する者を排除するための警告射撃もできる。

 自衛隊のPKO活動が様変わりし、隊員のリスクが高まる。にもかかわらず、法案審議は集団的自衛権などに集中し、PKOについては議論が深まらなかった。

 政府は南スーダンPKOについて現行の実施計画の期限である10月末までに▽期間延長の是非▽駆け付け警護の任務を付与するか▽その実施場所―を判断する。与野党は9月の臨時国会で政府の考えをただし、派遣そのものの是非から議論を尽くす必要がある。

(8月30日)

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