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お六櫛特需 木祖村の伝統工芸、TV紹介で注文殺到

細かい手作業を重ねて「お六櫛」を作る篠原武さん。後ろに並ぶ道具も手作りだ細かい手作業を重ねて「お六櫛」を作る篠原武さん。後ろに並ぶ道具も手作りだ
 木曽郡木祖村薮原で江戸時代から続く伝統工芸品「お六櫛(ぐし)」の注文が今春以降、各地から相次いでいる。全国放送のテレビ番組で何度も取り上げられたためとみられる。手作業の部分が多く、出荷するまでに7カ月かかる工房もある人気ぶりだ。注文と共に、伝統工芸品を作り続けることへの励ましの手紙が添えられることがあり、作り手は思いを込めて制作に励んでいる。

 お六櫛は、享保年間(1716〜36年)に「お六」という頭痛持ちの娘が、御嶽山の神様のお告げ通りにミネバリの木で作った櫛で髪をとかすと、頭痛が治り、土産として作られるようになったと言い伝えられている。

 4月と6月にテレビの情報番組でお六櫛が紹介された後、注文が増え始めた。フランスでも商品が扱われていることが紹介された「工房ふるかわや」はインターネットでの注文が相次ぎ、完成までに最低7カ月は必要という。今月28日にも紹介する番組があり、注文はさらに増えた。

 工房代表の古畑益朗さん(67)は「こんなに注文が多いのは初めてでうれしい」と話す。細かい手作業が多い伝統技術を守っていることに、「頑張ってください」との手紙も多く届いた。1日でも早く出荷できるようにと、百貨店などでの実演販売を一時断っている状況だ。

 お六櫛を43年間作り続けている篠原武さん(73)の店には今夏、東北や関西地方を含め買い求める客が増えたという。篠原さんは「ブームの時こそ質の高い櫛を作り続けたい」と話す。

 生産者や技術の伝承者でつくる木祖村お六櫛組合の北川聡組合長(82)は「過去にも一時的にブームになることはあった。今回は反響が長く続いており、人気が定着してくれたらいい」と期待する。

 ただ、村内で櫛作りを職業としているのは3軒だけで、担い手の育成が課題だ。組合は週1回ずつ研修会を開いており、4人が参加している。このうち1人は、松本市内で本業として始めた。

 村は本年度に始めたふるさと納税への返礼品にお六櫛を加えたところ、櫛を求めるのは約100件になったという。唐沢一寛村長は「村としても、受け継げる方法を新たに考えたい」としている。

(8月30日)

長野県のニュース(8月30日)