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NHK受信料 在り方論議を促す判決

 NHK受信料の今後の在り方を考えさせる判決がさいたま地裁であった。ワンセグ付き携帯電話は放送法が定める受信設備には当たらない、との判決だ。

 受信設備でないならNHKと受信契約を結ぶ義務は生じない。受信料も払わなくてよくなる。

 携帯電話、パソコン、カーナビなどさまざまな端末でテレビが見られる時代である。一家に1台のテレビを前提にした受信料制度が揺らぐ中で、公共放送をどう維持、発展させるか。議論を深めるきっかけにしたい。

 埼玉県朝霞市議の男性が起こした裁判だ。ワンセグ付き携帯を持っても受信契約を結ぶ義務は生じないことの確認を求めた。

 ワンセグとは携帯端末向け地上デジタル放送を指す。基本的に地上波と同じ内容を放送している。10年前に始まり、今では長野県を含む全国で見られる。

 裁判ではワンセグ携帯を持つことが放送法の言う受信設備「設置」に当たるかどうかが争われた。「設置」には「携帯」の意味も含まれる、とNHKは主張したものの、判決は、そう考えるのは「無理がある」と退けた。

 携帯電話を持つのは、普通はテレビを見るためではない。判決にうなずく人は多いだろう。

 NHKは控訴する考えを明らかにしている。受信料制度の今後に大きく影響する裁判だ。上級審の判断に注目したい。

 放送法の受信料規定は半世紀以上前に定められたまま手直しされていない。見直しが必要だ。

 ドイツ公共放送の例が参考になる。受信機の多様化を踏まえて3年前、受信機ごとに受信料を課金してきたのをやめて、個人の住居、事業所、事業用自動車、ホテルなどの客室ごとに負担金を賦課する仕組みに変えた。

 受信機を持つ、持たないに関係ない。考え方としては全国民の負担で公共放送を支えるやり方と言えるだろう。

 今後の議論で踏まえるべきポイントを挙げておきたい。NHKの公共性を重視すること、言い換えれば視聴者によって支えられる視点を忘れないことだ。

 受信料についてはかねて、いまの契約義務制から一歩進めて支払い義務制にすべきだとの意見が政府の一部から出ている。支払いを法律で義務付けるとなると受信料は税金の性格を強める。NHKは国営放送に近づく。

 NHKはそうでなくても政治の介入圧力にさらされている。支払い義務化には賛成できない。

(8月31日)

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