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個々の状況どう反映 障害年金 支給基準全国一律に

将来の年金受給について心配する長谷川さん=30日、塩尻市将来の年金受給について心配する長谷川さん=30日、塩尻市
 厚生労働省は1日、障害年金のうち、精神・知的障害の支給判定について一律の基準となる新たなガイドラインを導入する。申請が不支給とされる率が都道府県間で最大6倍もの差があり、是正する狙い。長野県では不支給となる率が全国でも低く、障害者らは公正さ確保には理解を示す一方で、一律化が結果として支給の縮小につながらないか懸念する声もある。

 「年金で心に余裕ができて病状が回復してきた」。転職のストレスで2004年にうつ病を発症した長谷川洋さん(48)=塩尻市=は、09年に障害年金を申請した。初診時は派遣社員で障害厚生年金3級に認定。年58万円余を受給し、午前中にパートの仕事もして生計を立てる。

 支給判定は医師の診断書が基になる。医師が、食事や金銭管理など7項目の生活能力について「できる」から「できない」までの4段階で、援助の必要度を「社会生活は普通にできる」から「常時必要」までの5段階で評価する。日本年金機構の事務センターなどの審査を経る。更新のため、障害者は診断を繰り返し受ける場合が多い。

 新たに、審査に公正さと客観性を持たせるため、生活能力と援助の必要度を組み合わせ、等級を示す表を導入する。個々の状況も考慮されるが、反映するには「合理的かつ明確な理由」が求められる。

 長谷川さんは、公正な支給になることは良いとした上で、「個人の状況をきちんと審査してもらえるのか」と不安を隠さない。長谷川さんが主宰するうつ病患者の団体「ガレージとーく」の会員からも「自分はどうなるのか」との声が上がっているという。

 障害基礎年金の不支給率が最も低いのは栃木県の4・0%。最高の大分県(24・4%)とは6倍の差があり、不公平感が指摘されていた。長野県は5・8%と低い方から4番目となっている。

 従来も判定について大まかな目安はあったが、厚労省年金局は「曖昧な部分があり、医師や事務センター職員に認識の違いがあった」とみる。

 ガイドラインでは障害の状態が変わらない場合は「当分の間、等級変更はしない」とするが、将来は年金額が下がったり、不支給となったりする例が出ることも予想される。

 県内の知的障害者と家族による「長野県手をつなぐ育成会」(長野市)の塚田なおみ事務局長は「格差をなくすという名目で年金を縮小してはならない」と強調。県精神保健福祉センターの小泉典章所長は「今後は医師が日常生活での患者の様子を診断書にしっかり反映させる必要がある」と指摘している。

(9月1日)

長野県のニュース(9月1日)