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「戦時色」強まる時代のデザイン 2日から長野で展示

「戦争×デザイン展」の告知ポスター。若い世代にも注目してもらおうと、ポップな雰囲気に仕上げた「戦争×デザイン展」の告知ポスター。若い世代にも注目してもらおうと、ポップな雰囲気に仕上げた
 日中戦争から太平洋戦争期に描かれたポスターなどを展示し、当時の表現や時代の空気に触れる「戦争×デザイン展」(信州戦争資料センター主催)が2〜4日、長野市東町のギャラリー花蔵で開かれる。戦争推進のプロパガンダ(宣伝)に使われたデザインを切り口に、過去の戦争に関心の薄い若い世代にも新たな視点で戦争を感じ、考えてもらう狙いだ。

 「勝利だ戦費だ国債だ」―と肉太の三つの「だ」が迫ってくる絵柄のポスター。「語呂が良くインパクトが強い。戦争を進めるという勢いや雰囲気が出ている」。長野市のグラフィックデザイナーで同センター事務局長の木下光三さん(38)は、1942(昭和17)年に戦時国債購入を呼び掛けた1枚をこう評する。「大東亜戦に勝ち抜く為に翼賛選挙を貫徹しませう」―。同じ年の文字だけの衆院選ポスターには「余白の取り方がきれいでセンスが良い」と構図の巧みさに注目する。

 デザイン展は、航空機燃料用に「松根油」増産を呼び掛けるポスターや、戦時中に発行された雑誌など約70点を紹介。ユニークなのは、それらを現代のデザイナーの感想も交えて紹介する展示内容だ。

 同センターは昨夏、戦争資料の企画展を市内で初めて開催。木下さんはその展示を通じて戦時下のデザインに興味を持った。戦時色が強まるにつれて簡素化されたタバコの箱を見て、日常生活が戦争に取り込まれた時代を感じた。

 今夏の企画展を検討する中、戦争が身近ではなく「重い」と感じる若者に足を運んでもらおうと、当時のポスターなどのデザインに着目。木下さんが手掛けた企画展の告知ポスターも、爆弾の形を取り入れつつポップな印象に仕上げた。

 企画の一環で木下さんは地元の20〜40代のデザイナー3人と戦時中のデザインから何を感じるか語り合った。コンピューターグラフィックスで描ける現代に比べ「手書きの文字で伝えるメッセージが強い」と、参加したデザイナーの相沢徳行さん(43)も語る。「その時代のデザインの専門家として効果的な伝え方を探ったのだろう」。ただ、作品は戦争遂行をあおった。「今見ると、そこが切ない」と話す。

 木下さんも「プロパガンダの仕事を依頼されたら自分ならどうしただろうか」。当時の制作者の心情に思いを巡らせることで、平和な現代にデザインの仕事に携われる幸せをかみしめた。

 入場無料。午前10時〜午後6時(2日は午後2時から。4日は午後3時まで)。

(9月1日)

長野県のニュース(9月1日)