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概算要求 危機意識が欠けている

 2017年度一般会計予算の概算要求の総額は、101兆円台に膨らんだ。3年続けて100兆円を超えている。厳しい財政状況への各省庁の危機意識は相変わらず感じられない。

 概算要求は、省庁が翌年度に行いたい政策の経費や人件費などの見積額を取りまとめて財務省に提出し、予算を要求することだ。8月末で締め切った。財務省と各省庁との折衝で絞り込み、12月下旬に政府予算案を決める。

 過去最大となった前年度の102兆4千億円余よりは減った。とはいえ、日銀のマイナス金利政策で金利が下がり、借金の利払いを減額できたのが理由だ。国債の元利払いを除いた政策経費は前年度を上回るとみられる。

 政策経費は厚生労働省が最も多く、31兆1200億円余と実質過去最大になっている。5年連続の増額を要求した防衛省も5兆1600億円余と過去最大だ。

 「1億総活躍社会」や「地方創生」など政権の看板政策を使ってより多くの予算獲得を目指す姿勢も例年と同様である。財政の立て直しに向け、歳出を切り詰めようという発想はうかがえない。

 そもそも要求を受け付ける側に歳出を抑える意識が乏しい。省庁が予算を求める際のルールである概算要求基準は今回も歳出の上限を設けず、重要施策に4兆円程度の特別枠を設定した。

 国債や金融機関からの借入金などを合計した「国の借金」の残高は6月末時点で1053兆4676億円だった。3月末時点より4兆1千億円余増えている。財務省は16年度末に1191兆円に達する可能性もあると見込む。

 安倍晋三首相らは財政健全化目標を堅持すると繰り返し述べている。基礎的財政収支を20年度までに黒字化するというものだ。内閣府の試算では、消費税率10%に加えて高い経済成長を見込んでも赤字が残る。財布のひもを緩めながら、どう再建するというのか。

 菅義偉官房長官は31日の記者会見で「安倍政権は、経済再生と財政健全化という極めて難しい二兎(にと)を追っていく」と述べ、予算編成でめりはりを付けることを強調している。しかし、その前に大型補正予算もあり、説得力はない。

 高齢化に伴い社会保障費は増えていく。将来世代への付け回しを続けることは許されない。必要な事業か、優先度は高いか、省庁間での重複はないか、費用に見合う効果を見込めるか。各省庁の要求内容を精査し、大なたを振るわなくてはならない。

(9月2日)

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