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リニア説明会 住民置き去りはだめだ

 説明会開催をリニア着工に向けたアリバイにするのではないか。

 JR東海のリニア中央新幹線南アルプストンネル(約25キロ)の長野工区(約8・4キロ)である。10月中にも着工する方向で調整している。掘削する下伊那郡大鹿村では7日に全住民向けの説明会を開く。村内の各地区でも開催することになっている。

 住民の理解を得るための説明会である。大鹿村だけで300万立方メートル余になる残土の処分地など、住民には不安と疑問が根強く残っている。JRは真摯(しんし)に向き合い、解消に努める必要がある。

 大きな問題は、工事の本格着手には住民の理解が必要とししつつ、理解を得たかどうかはJRが判断するという考えを何度も示していることだ。

 理解を得たという既成事実をつくるための説明会になるのでは―。住民側からはそんな懸念が出ている。JRにはこれまで、2027年開業という目標を最優先する姿勢が目立つからだ。

 JRは15年4月に県と交わした基本合意書で「工事の安全、環境の保全、地域との連携を重視して進める」と明記している。

 それなのに、県や沿線自治体が挙げた要望のうち、作業用トンネル坑口数の削減や橋の地中化など、工期の遅れにつながりかねない要望は聞き入れてこなかった。

 先月29日には残土の処分地問題が解決しない下伊那郡阿智村のリニア対策委員会で、JRが「大鹿から木曽まで、他の所と比べても当地域は進んでいない」と早期決着を求めている。

 住民たちの暮らしは、工事が始まれば10年以上にわたって影響を受ける。JRの説明や対応に納得できるかどうかは、住民が自治会などの組織で話し合い、決めることだ。JRがこのままの姿勢を続けると、住民との信頼関係は構築できない。

 説明会に対する姿勢にも疑問が多い。先月26日に大鹿村釜沢地区で開いた非公開の関連工事説明会で、地区の正副自治会長が求めた村リニア対策委員のオブザーバー出席を拒否している。正副会長は抗議して退席した。

 対策委員はリニアに慎重な姿勢を取っていた。計画に疑義を持つ住民を含め、誠実に理解を得ようとしているとは思えない。

 これまで非公開で実施するとしていた7日の説明会は、一転して公開されることになった。透明性を高めるため、今後、県内各地で開く説明会も同様に公開で実施するべきだ。

(9月3日)

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