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九州電力 不安を理解しているのか

 九州電力がきのう、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の即時一時停止の要請に応じないと、三反園訓・鹿児島県知事に回答した。

 知事は「熊本地震以降、県民の不安が高まっている」として、即時一時停止と設備の再点検、周辺の活断層調査などを要請していた。知事は7月の知事選で原発の再点検を訴えて初当選している。九電は要請を重く受け止める必要があったはずだ。

 それなのに活断層は既に調査を尽くしたとして、再調査を拒否。設備は10月以降の定期検査で点検するとしている。住民がなぜ不安を感じているのか、理解できていないのではないか。

 東京電力福島第1原発の事故は、安全対策を何重に施しても「想定外」の災害が起きれば対応できないことを浮き彫りにした。

 4月の熊本地震も「想定外」の災害だった。震度7を2回観測し、長さ100キロまで震源域が広がった。16万棟以上が損壊し、大規模災害時に活用する緊急輸送道路も打撃を受けた。

 鹿児島県内では川内原発の予防的な停止を求める声が高まった。これに対し、九電と原子力規制委員会は「安全上の問題は起きない」として運転を継続した。

 想定外の地震が原発周辺で起きないとなぜ言い切れるのか―。不安が消えないのは、福島事故以降、原発の安全対策への信頼が失われたままだからだ。

 何も対応せず、「科学的根拠」を一方的に示しても信頼は回復しない。熊本地震は原発周辺の活断層に影響を与えていないのか。過去の調査や安全対策を過信せず、わずかな懸念も見過ごさないで対応することが必要だ。

 知事は再度の一時停止要請を検討するとしている。当然だろう。九電は不安に真摯(しんし)に向き合い、川内原発を即時停止するべきだ。

 大規模な自然災害と原発事故が同時に発生することを想定した避難計画も欠かせない。知事は計画を見直す考えを示している。事故はいつ発生するか分からない。安全性と実効性が実証された新計画が完成するまで、川内原発を運転してはならない。

 原子炉圧力容器にも不安がある。強度不足の疑いがあるとしてフランスが調査しているメーカーが、川内1、2号機を含めた国内8原発13基の圧力容器を製造したことが今月発覚した。

 九電は運転を止めず「メーカーに確認する」としているだけだ。安全性に対する認識不足を疑わざるを得ない。

(9月6日)

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