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憲法の岐路 民進代表選 強靭な対抗軸の確立を

 民進党の代表選に立候補している3氏がそろって、国会での憲法論議に前向きに取り組む考えを表明した。

 政党である以上、衆参の憲法審査会を舞台とする審議に全く応じないのは現実的な選択肢になりにくい。国民の前で堂々と意見を戦わせ、次の選挙で支持を訴えるのが政党の取るべき態度である。

 半面、安易に応じると改憲のアリバイ作りに手を貸す結果を招く心配も否定しきれない。

 憲法問題で民進党が建設的役割を果たすには、安倍晋三首相の改憲路線に対する強靱(きょうじん)な対抗軸を確立し、国民に訴えかけるのが先決だ。代表選をそのための機会にしてもらいたい。

 3氏は代表選に向けた記者会見で、自衛隊の国防軍化や天皇の国家元首化をうたう自民改憲草案には反対と明言した。その上で「当然、審議には乗っていく」(蓮舫氏)など、議論そのものは拒まない姿勢を打ち出した。

 審議に臨む姿勢として、蓮舫氏は「憲法9条、平和主義を守る」と強調。前原誠司氏は「自衛隊の位置付けをしっかり議論すべきだ」と具体的項目に触れた。玉木雄一郎氏は「党内で1年をめどに憲法提言をまとめるべきだ」と党内論議の加速を呼び掛けた。

 岡田克也代表は安倍政権の下では改憲論議に応じない姿勢を保ってきた。首相が従来の政府の憲法解釈を強引に変更して集団的自衛権行使を容認するなど、憲法秩序を軽視する政策を進めたことをその理由に挙げている。

 例えば1月の衆院代表質問だ。憲法は権力乱用から国民を守るもの、とする立憲主義の基本を首相は理解していないと追及。「安倍首相の下での憲法改正は極めて危険」と断じた。

 憲法を軽んずる首相とは改憲の話はしない―。これはこれで一つの見識と言える。

 3氏が憲法審議に応じようと思うなら、党内で議論を深めるとともに、首相の姿勢がなぜ問題なのか、どう改めさせるのか、国民に説明する必要がある。

 民進党の前身である民主党は、党の決定に議員が公然と反旗を翻すことがしばしばだった。下野した一因は党内ガバナンス(統治)の弱さにある。

 政治に緊張をもたらすにはしっかりした野党が欠かせない。信頼に足る政党である証しを、代表選で示してもらいたい。

(9月7日)

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