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日中首脳会談 信頼醸成へ対話重ねよ

 沖縄県・尖閣諸島周辺での中国公船の航行や南シナ海問題で局面を打開することはできなかった。

 安倍晋三首相と習近平国家主席の3度目の会談は、関係改善が簡単には進まない日中の現状を改めて浮かび上がらせた。信頼醸成へ対話を重ねなくてはならない。

 昨年4月以来、約1年5カ月ぶりの会談だ。中国・杭州での20カ国・地域(G20)首脳会合に出席するため首相が訪中したのに合わせて30分間ほど行った。

 両氏とも緊張緩和への努力を続ける姿勢は示している。尖閣を巡り、首相は「東シナ海を真の意味で友好の海にするために努力しよう」と呼び掛け、習氏は「中国と日本は地域の平和と安定を守るために対話を通じて適切に対処すべきだ」と応じた。

 偶発的衝突を回避する防衛当局間の「海空連絡メカニズム」の早期運用開始に向けた協議の加速で合意した。東シナ海ガス田共同開発の交渉再開を目指し、事務レベルの準備協議を来週始めることでも一致している。

 南シナ海問題は主張がかみ合わないままだ。国際法を守り、不安解消に努めるよう首相が求めたのに対し、習氏は「日本は言動に注意するべきだ」と突っぱねた。

 11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での再会談を首相が呼び掛けたものの、習氏から明確な答えはなかった。今回の会談も中国から日程が正式に伝えられたのは、首相の杭州入り後だ。すんなり首脳間対話を重ねられる状況にはない。

 日中関係は北東アジアの安定にも重要だ。北朝鮮は核・ミサイル開発で国際社会への挑発を続けている。G20首脳会合のさなかも弾道ミサイルを発射した。日中の連携強化が欠かせない。

 会談では、来年の日中国交正常化45年などの節目を利用して理解と信頼を深めることを申し合わせている。さまざまな分野、レベルで対話を進めるとした。本気の取り組みが双方に求められる。

 差し当たり急がねばならないのは尖閣での不測の事態を避ける仕組みづくりだ。連絡メカニズムは首脳会談のたびに取り上げられながら、実現できずにいる。

 6月に中国海軍艦が接続水域に入った。8月には中国公船と漁船が領海や接続水域を航行し、日本側が抗議しても繰り返した。中国に対し、挑発的な航行をやめるよう求めるとともに、連絡メカニズムの運用開始を強く働き掛けていく必要がある。

(9月7日)

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