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貨車11両の先頭と最後尾に機関車を連結して急勾配の峠を越える。北海道のJR石北線北見―旭川間を走る貨物列車だ。8月から翌年4月まで1日1往復する臨時便で「タマネギ列車」の名で親しまれている

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生産量日本一の北見地方からタマネギを全国に届ける大動脈だ。それが8月下旬の相次ぐ台風禍で断たれた。レールの路盤がえぐられ復旧の見通しが立っていない。加えて北見市を流れる常呂川が氾濫して収穫間近のタマネギ畑が冠水。大きな被害が出た

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8月に北海道に上陸、接近した台風は六つにのぼる。前例のない夏だった。十勝地方を流れる札内川は、アイヌ語で「乾く川」を意味し例年の夏場は歩いて渡れるほど水量が少ない。それが帯広の年間降水量に匹敵する雨が半月に降ったために増水し堤防が決壊した(北海道新聞)

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温暖化の影響が指摘される異常気象だ。道路網も寸断されており、物流への支障は東日本大震災に並ぶとの懸念も強まっているという。タマネギは卸売価格が値上がりし、店頭価格も上がり始めた。これから全国の食卓に影響がじわじわと広がりそうだ

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タマネギ列車は赤字と機関車の老朽化から数年前に廃止案が浮上したが、地元の支援で運行を継続した。台風禍で今度は路線の廃止まで俎上(そじょう)に載せられかねないという。タマネギを一皮むけば踏んだり蹴ったりの地方の現実が見えてくる。

(9月7日)

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