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火山研究・人材育成、一体で 文科省の総合プロジェクト始動

 文部科学省は7日、先進的な火山研究と専門家の育成を一体的に進める「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト」の概要を発表した。5項目の「次世代火山研究」と、大学院生らに教育プログラムを提供する「火山研究人材育成コンソーシアム(共同運営組織)」で構成。火山防災を支える人材の貧弱さが指摘された2014年9月の御嶽山噴火災害から2年を経て、具体的な取り組みが始動する。

 事業期間は10年。本年度予算に6億7千万円を盛っている。同省地震・防災研究課によると、国内の火山観測研究者は14年の調査で81人。このうち、研究者の育成を担う大学の在籍者は47人にとどまっている。今回の総合プロジェクトは、当初の5年間で研究者を160人に倍増させる目標を掲げた。

 火山は現在、主に地球物理学、地質・岩石学、地球化学の3分野の研究者がそれぞれの視点で研究している。総合プロジェクトは、各分野の枠を超えて取り組みを進める。

 人材育成の核となるコンソーシアムは、火山の体系的な知識や技能を得る機会を提供する。責任機関は東北大で、北海道大、東京大など計8大学が参加。基礎と応用の2コースがあり、カリキュラムは各1年。集中講義やテレビ会議システム、現地実習を組み合わせる。参加大学は今後も募る。基礎コース14人、応用コース6人の受講を見込む。本年度は基礎コースのみで、年内の開講を目指す。

 次世代火山研究では、工学や情報科学の専門家も加わって観測技術の開発などを進め、噴火確率の提示、被災状況の即時把握などの成果を目指す。A〜Eの課題を設定して責任機関を募集した。各課題に取り組む研究者がコンソーシアムで学ぶ学生に講義するなど、連携しながら進める。

 信州大(本部・松本市)は今回、プロジェクトへの参加を見送った。

 全体を統括するプロジェクトリーダーには、山梨県富士山科学研究所所長で火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣・東大名誉教授を選んだ。藤井氏は「10年の長期を見越し、これだけの予算が投じられる事業は初めて。社会が期待する火山防災への貢献を目指し、全国の火山研究者が総力を挙げて取り組むようにしたい」と話している。

(9月8日)

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