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森林税 余る原因検証してこそ

 本当に必要な税金なのか考えさせられる。

 森林の整備を促進するため、県民税に上乗せして課税している県森林づくり県民税(森林税)が昨年度、収入の約3分の2しか使われていないことが分かった。

 森林税を含め14億円余が不正受給された大北森林組合事件は、過大な予算を無理に消化しようとして起きたと指摘される。

 森林税は来年度、2期目の課税期限を迎える。事件も教訓に現場の実態を検証し、継続するかどうかを判断する必要がある。

 木を大きく育てるには間引きをする間伐が必要だ。戦後一斉に植えられた人工林の約8割が間伐が必要な時期を迎えた。だが、木材価格の低迷や担い手不足などで手入れがされず荒れた山が多い。

 このままでは土砂災害や地球温暖化の防止、水源保全など森林の機能が低下する。そんな危機感から国の補助事業以上に整備を進めるため考えられたのが森林税だ。

 その経過は知事3代にわたる。田中康夫氏が2004年に導入方針を示した。続く村井仁氏が有識識者懇話会の提言を受けて導入。08年度から5年の課税期間だったが、阿部守一氏が17年度までさらに5年継続させることを決めた。

 個人県民税に年額500円、法人県民税に資本金などに応じて千円〜4万円を上乗せする。ここ数年は寄付を含め6億6千万円台の収入がある。

 12年度以降、使った額が収入を1500万〜3500万円下回り、余剰金は不足時に取り崩す基金に回されてきた。昨年度は過去最大の2億2千万円余が余った。

 これほど余るようでは国庫補助だけで十分では、という疑問が出てもおかしくない。県が「原因がしっかりつかめていない」というのは無責任だ。

 課税期間の1期目が終わる前に県が県民2千人を対象に行ったアンケートでは約8割が森林税の継続を支持していた。年500円の負担で森林の機能維持に役立つなら、という期待の表れだろう。

 だが、その後発覚した大北森林組合事件を検証した県の有識者委員会はこう指摘している。

 間伐面積の目標は、作業する事業者の能力を十分考慮しないで策定され、地方事務所に配分した目標の達成に主眼が置かれた―。

 森林税がなければ整備できない山林の面積がどのくらいあり、いくら必要なのか。担い手は十分確保できるのか。県は全体像を明らかにし、税継続の是非をあらためて県民に問うべきだ。

(9月8日)

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