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高校のバスケットボール部の後輩が骨肉腫で片足を切断した。遠藤謙さん(38)の転機になった出来事だ。ロボット研究から義足開発へ。ベンチャー企業を設立、元陸上五輪選手の為末大さんらとチームを組む

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陸上競技用の義足は、弧を描くような形状の板ばねが特徴だ。研究には炭素繊維メーカーも参加。選手の走りの特性に合わせて地面から最適の力を受ける形を決め、壊れにくいカーボン製義足を開発した。開幕したリオ・パラリンピックがデビューになる

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競技用の義足は欧州メーカーの製品が歴史もあり大半の選手が利用している。遠藤チームの義足は100メートルに出場する佐藤圭太選手が使う。欧州製を日本製が超えるか焦点の一つだ。遠藤さんの目標はさらに先にある。東京大会で男子100メートルの五輪優勝者のタイムを上回ることだ

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夢物語ではない。走り幅跳びのマルクス・レーム選手(ドイツ)は昨秋、8メートル40をマーク。ロンドン五輪優勝者の記録を9センチ上回った。今年2月には健常者を抑えて優勝。リオ五輪を目指したが、義足が有利に働いていないとの証明ができず断念している

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義足は使いこなすのに血のにじむ努力がいる。一方で高額になれば貧しい国の選手は手が届かない。公平とは何か。どこまでが人間本来の能力か。用具を進化させる科学技術を「イカロスの翼」にしないためにも避けては通れない問いだ。

※2段落目の義足の記述の中に誤字がありました。本文は修正ずみです。

(9月8日)

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