長野県のニュース

県内からの声援力に 車いす陸上の樋口選手、10日最初のレース

リオデジャネイロの選手村でレースへの意気込みを語る樋口政幸選手=6日(本社稲田俊撮影)リオデジャネイロの選手村でレースへの意気込みを語る樋口政幸選手=6日(本社稲田俊撮影)
 リオデジャネイロ・パラリンピック車いす陸上の樋口政幸選手(37)=プーマジャパン、安曇野市=は9日(日本時間10日)、初戦となる5000メートルの予選に臨む。飯山市の農家で働いていた13年前、休日に起こしたバイク事故で障害を負った。その後、競技に出合い、長野県内を拠点に活動してきた。1500メートル、800メートルを含めた3種目での世界との熾烈(しれつ)な戦いを前に、「メダルに絡むレースをしたい」とリオ入り後、気持ちを高ぶらせている。トレーナーから指導を受けるため、6年前に移り住んだ安曇野市で応援してきた人たちも大きな期待を寄せている。

 実家が新潟県十日町市の農家の樋口選手は、新潟県農業大学校を卒業後、飯山市の花き農家で1年間、研修した。受け入れた梨元茂さん(50)は「口数は少ないが、まじめだった」。研修後も働き、梨元さん家族と暮らした。「温かい人たちで居心地がよかった」と樋口選手は振り返る。

 バイク事故は24歳だった2003年6月、下高井郡山ノ内町で起きた。病院に駆け付けた梨元さんに、樋口選手は「7月のユリの切り花作業には戻りますから」と伝えたが、脊髄損傷で下半身まひになり、仕事には戻れなかった。

 梨元さんは、樋口選手が障害を受け入れられるか心配したが、リハビリ中に勧められて始めた車いすマラソンに打ち込む姿に「目標が見つかったように見えた」。05年の第1回から長野市で開く長野車いすマラソンに出場するようになると、家族で沿道に立ち、声援を送った。梨元さんの妻の百合さん(48)は「リオから帰ったら久々にご飯を食べに来てほしい」と思っている。

  ◇

 今年8月6日、安曇野市で樋口選手の壮行会が開かれた。大勢の市民らが樋口選手に激励の言葉を掛けた。「樋口政幸選手を応援する会」事務局長の藤原裕子さん=安曇野市=は喜びをかみしめた。前回のロンドン大会の際、市が開いた壮行会で市民の参加は自身とおいの2人だけだっただけに、「世界と戦う選手が地元にいることが市民が浸透してきた」と受け止めた。

 藤原さんは、5年前に市内のトレーニングジムで樋口選手と知り合った。「黙々と練習するストイックな姿に、すごいと思った」。15年6月には市民有志らで「応援する会」を結成。会員は個人・法人合わせて約130人で、樋口選手のレースを観戦したり、支援金を集めたりしてきた。

 同会の遠藤正寿会長(80)=同=は「レースを実際に見ると樋口選手のすごさが分かる」。1500メートル決勝がある日本時間14日早朝、市役所本庁舎で市が開くパブリックビューイングに多くの人を集めるつもりだ。

 こうした応援に樋口選手は「新潟県から、たまたま長野県に移った自分をこれだけ応援してくれることに本当に感謝している」。メダル獲得が声援への返礼になると思っている。

(9月9日)

長野県のニュース(9月9日)