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北朝鮮核実験 対応の見直し迫られる

 北朝鮮が5回目の核実験を強行した。

 爆発規模はこれまでで最大級とみられ、弾道ミサイル技術の進展とともに、核の運用能力向上を印象付けた。深刻な事態である。

 4年半近くになる金正恩体制下では3回目、前回の実験から8カ月しかたっていない。核に執着する姿勢は強まる一方だ。

 国連安全保障理事会をはじめとする国際社会の度重なる非難や制裁を顧みず、なぜ、かたくなに瀬戸際戦術を続けるのか。

 手詰まり感が漂う対応を見直すためにも、安保理は北朝鮮による核実験の意図や背景などを詳しく分析する必要がある。

 きのうは北朝鮮の建国記念日だった。核実験は金正恩朝鮮労働党委員長の求心力を高め、体制維持を図る狙いがあるとされる。

 韓国と北朝鮮が米国と旧ソ連を軸とした東西冷戦を背景に衝突した1950〜53年の朝鮮戦争は、今も休戦状態のままだ。完全に終わってはいない。

 北朝鮮は現在の休戦協定に代わる平和協定締結に向けた直接対話を米国に迫っている。しかし、米国は非核化に向けた行動が先決だとして応じる気配はない。その軍事力を脅威だとし、対抗するために核を正当化している。

 きのう北朝鮮の国営メディアは「米国をはじめとする敵対勢力の脅威と制裁に対する実際的な対応措置の一環だ」と表明した。

 北朝鮮の内部事情も見過ごせなくなってきた。体制を支えてきたエリート層などの亡命が相次いでいる。幹部や高官の粛清も続いているとされ、核実験が体制引き締めを狙っているとも考えられる。金氏の足元の揺らぎが新たな挑発を生むかもしれない。

 安保理が結束して北朝鮮の核に対応していると言えない現状も問題だ。韓国が7月に米軍のミサイル迎撃システム配備を決めた。日本政府は歓迎したが、中国やロシアが反発を強めている。

 安保理常任理事国の中で亀裂が深まっていく恐れもある。そうなれば、北朝鮮の核問題はぼやけてしまい、結果的に核とミサイル技術向上のための時間的猶予を与えてしまう。北朝鮮に対する制裁も抜け穴が多いといわれ、実効性への疑問が消えない。

 北朝鮮は核実験と弾道ミサイル発射で安保理決議違反を重ねている。アジア太平洋地域に不安を与え、緊張させている。安保理は存在意義が厳しく問われるだろう。北朝鮮にどう対応するか、早急に議論を深めてほしい。

(9月10日)

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