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パリ協定 年内批准は国際公約だ

 昨年末に採択された地球温暖化対策の新しい枠組み「パリ協定」を、米国と中国が同時に批准した。

 京都議定書に代わるパリ協定は、温室効果ガス総排出量の55%以上を占める55カ国以上が批准すれば発効する。38%を占める米中の批准で、協定の年内発効に向けて大きく前進したことになる。

 京都議定書は米国が批准せず、中国は発展途上国として温室効果ガスの削減義務を負わなかった。両国の批准を歓迎したい。

 協定発効には排出量で16%に相当する29カ国の批准がまだ必要だ。英国の欧州連合(EU)離脱でEU諸国は批准の遅れが懸念されており、総排出量の3・8%を占める日本の役割は大きい。

 日本は秋の臨時国会に批准案を提出する方向で調整しているものの、補正予算案などの大型案件がある影響で審議の見通しが立っていない。

 日本が議長国となった5月の伊勢志摩サミットでは「協定の年内発効に取り組む」ことに合意。5日に中国・杭州で開かれた20カ国・地域(G20)首脳会合でも、安倍晋三首相が早期批准へ最大限努力する考えを示した。

 年内批准は国際公約といえる。審議日程を理由に年内批准を見送れば国際的な信用が低下する。臨時国会で批准手続きをとらなければならない。

 協定は産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目標にしている。人間活動に伴う温室効果ガスの排出量は今世紀後半に実質的にゼロにする。

 11月にモロッコで開かれる気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)では、協定の具体的なルール作りが話し合われることになっている。一刻も早く協定を発効させて、国際的な取り組みを進める必要がある。

 各国の現在の削減目標は物足りない。全て達成しても気温上昇を2度未満に抑えられない。

 特に日本の目標は低すぎる。2030年までに13年比で排出量を26%減らす目標を掲げている。13年は東京電力福島第1原発の事故の影響で火力発電が増え、ガス排出量が大きくなっていた時期だ。1990年比では18%の削減にとどまる。

 各国の目標は5年ごとに見直すことになっている。決意を固めて協定の目標実現に寄与しなければならない。産業界や電力会社の積極的な取り組みに加え、消費者もさらに省エネ意識を高めたい。

(9月11日)

長野県のニュース(9月11日)