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「戦争」の意味を辞書で引くと「国家間の武力による争い」といったことが書いてある。主権国家の正規軍が宣戦布告で戦闘を開始、勝敗が決したら停戦から講和へと進むイメージだ

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だから、9・11テロ直後のブッシュ米大統領の演説には違和感がぬぐえなかった。大統領はこう言っている。「われわれは宣戦を布告され、戦争状態にある」。アルカイダは国家ではない。宣戦布告もしていない。そもそもテロは犯罪であり戦争行為ではない。対処するのは軍隊ではなく、警察のはずだ

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米軍はアルカイダが拠点を置くアフガニスタンを攻撃。アルカイダを支援しているとしてフセイン政権のイラクにも侵攻した。「テロとの戦い」である。米軍はその後、ゲリラ攻撃に悩まされるようになる。イラクとアフガンでの米兵の死者は6千人を超す

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戦争には民間人の殺傷禁止など一定のルールがある。戦時国際法である。欧州では12世紀ごろから法制化の動きが芽生え貫通力の強い弓をキリスト教徒間では禁ずる合意などが成立した(猪口邦子「戦争と平和」)。20世紀に入り国際法として体系化した

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9・11テロ後に米国が踏み込んだ戦争は、ルールが通用する戦争とかけ離れている。誰が敵でどこに潜むか分からない。兵士は恐怖心で無差別に銃を向ける。イラクでは十数万人の市民が犠牲になったとされる。布告なき戦争の理不尽だ。

(9月11日)

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