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いたずらが過ぎるキツネを職人が捕まえ火あぶりにしようとした。キツネは許しを乞い「大名行列に化ける」と約束した。翌日、大名行列を見た職人はキツネをほめるが…。行列は本物、職人は打ち首となる

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広島に伝わる民話だ。江戸時代の大名行列には通行の特権があった。遮れば無礼者と断罪された。行列はやがて大名の競い合いから華美になり、従者も増えていく。各地に残る同じような民話は、大名行列への庶民の畏怖や苦々しい思いの表れでもあろう

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転じて政府高官や議員らが多数の従者を伴って外出することを「大名行列」とたとえるようになった。災害の被災地に大挙して訪れる調査団や視察団に複雑な視線を向ける住民もいよう。まして豪雨の水が引けないのに長靴を持参せず、職員に背負われるという場面はどう映ったか

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政府調査団の団長として岩手県岩泉町を視察した務台俊介氏だ。消防庁防災課長も務め「防災対策はライフワーク」と言ってきた。防災を担当する政務官に起用されて1カ月。残念だ。被災地の目に思いが巡らなかったのか。止める随行者はいなかったのか

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先の熊本地震ではこんなこともあった。政府と県が対応を話し合うためのテレビ会議で、現地対策本部長が自分たちへの食事の差し入れを要請した。政府が派遣した内閣府副大臣だった。政治が慎み深さを失えば庶民の心は離れていく。

(9月14日)

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