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龍渓硯作り次代につなぐ 辰野の特産、技法学んだ高遠高教諭

龍渓硯の作品を前に、のみで石を削って硯を作る泉さん=伊那市高遠町の高遠高校龍渓硯の作品を前に、のみで石を削って硯を作る泉さん=伊那市高遠町の高遠高校
 上伊那郡辰野町の特産品で県の伝統的工芸品「龍渓硯(りゅうけいすずり)」作りの伝統を知ってもらおうと、高遠高校(伊那市高遠町)教諭で書家の泉石心(せきしん)(本名・逸男)さん(57)が近く、同校芸術コース書道専攻の1〜3年の16人に硯作りの指導を始める。辰野町では一昨年に龍渓硯の作家翠川希石(きせき)さんが亡くなった。翠川さんから作り方を教わった泉さんは「自分なりにできることをしたい」と若い世代への指導に意欲を見せる。

 龍渓硯は辰野町の横川や小横川の渓谷から採れる黒雲母粘板岩を使う。町辰野美術館によると、高遠藩が江戸時代に甲斐(山梨県)の硯職人を招いて広めたのが始まり。「高遠硯」などとして売り出された。明治初期は数十人の職人がいたが、大正期には万年筆の普及などで衰退した。

 辰野町内では昨年、硯作家の深沢淡斎(たんさい)さんが亡くなった。現在、深沢秀石(しゅうせき)さん(51)が跡を継いで硯作家の三代目となり、会社勤めの合間に年に数回指導している。

 泉さんは約30年前に龍渓硯を購入し、20年ほど前から翠川さんの工房を訪れて指導を受けてきた。「日本でも有名な硯で鉄分を含んだ赤茶色などの色が魅力。価値が分かる人も減り、黙っていれば消えてしまう」と心配する。

 泉さんは、翠川さんの道具を家族から借りており、硯作りの指導で使う考えだ。「高遠ともゆかりがある龍渓硯を記憶に残してほしい」と生徒に期待し、自身で仕上げた作品も「できるだけ発表する機会をつくりたい」と意気込む。

 辰野美術館は25日まで翠川さんの遺作展を開いている。17日午後1時半から、泉さんが翠川さんの作品解説などをする。入場料は一般300円、高校生以下無料。

(9月14日)

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