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性犯罪厳罰化 被害者に十分な支援を

 法制審議会が性犯罪の厳罰化を盛り込んだ刑法改正要綱を答申した。強姦(ごうかん)罪の法定刑を現行の「懲役3年以上」から「懲役5年以上」に引き上げることなどをうたっている。

 性犯罪は被害者の心身を大きく傷つける。影響が長く残ることから「魂の殺人」とも呼ばれる。厳しく臨むのは当然だ。

 被害者への支援、加害者の更生プログラムの拡充など幅広い取り組みを強化して、憎むべき犯罪に対処したい。

 強姦罪の法定刑は、今は強盗罪の「懲役5年以上」より軽い。罪の重さに照らして罰が軽すぎる、との声はかねて強かった。

 要綱には法定刑引き上げのほかに、(1)起訴するのに被害者の告訴が必要となる親告罪の規定を削除する(2)18歳未満に対し親などが影響力に乗じて性行為などをしたときの罰則を新設する(3)強姦罪の被害者を女性に、加害者を男性に限る規定をなくす―ことなどが盛り込まれている。

 中でも(1)の親告罪規定の削除は重要だ。これまで親告罪としてきたのは被害者の名誉やプライバシーを守るためだった。その半面、被害者の同意を必要としたことで性の暴力が立件されず、加害者が罰せられないまま終わる弊害が指摘されてきた。

 裁判になれば犯行の様子を法廷で説明しなければならない。被害者がためらう気持ちはよく分かる。加害者が知人だったりする場合はなおさらだ。

 非親告罪になれば、被害者は告訴するかどうか悩まなくて済む。その面では、負担は軽くなるかもしれない。

 非親告罪とすることで被害者を苦しめるようでは本末転倒だ。警察や裁判所が被害者に寄り添って捜査、裁判を進めること。そして被害者を徹底して守る取り組みが欠かせない。セカンドレイプ、被害者をもう一度傷つける事態は間違っても招いてはならない。

 あらゆる相談に応じ、助言するワンストップ窓口の整備、拡充には直ちに取り掛かりたい。

 今回の見直しは法務省の研究会がまとめた提言をベースにしている。提言のうち要綱に盛り込まれなかった項目が幾つかある。

 ▽強姦罪の時効を廃止する▽配偶者間の強姦罪の規定を新設する▽暴行、脅迫がなくても強姦罪が成立する年齢を「13歳未満」から引き上げる―などだ。

 どれもが重大で、多面的検討を要するテーマである。これからも慎重な議論を続けたい。

(9月15日)

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